映画評:インフォーマント!
2010-02-26 07:16
疲れ切り人生がいやになった日は本家から転載。
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最初に機内で見たときは
"なんだか地味な画面だなあ。主役も腹のでたおっさんだし"
と思って数分でやめてしまった。
それから一月程してまた飛行機にのる。するとまたやっている。一度見てみるか。すると最初のクレジットで主役がマット・デイモンである ことを知る。ううむ。見事に体重を増やしたなあ。驚いていると監督がソダーバーグであることを知る。これは見なくては。
主人公は食品工場に務めている男。生産ラインに細菌が混入するトラブルに悩まされている。ところがある日
"日本企業から電話があった。 細菌混入は奴らのサボタージュだった。解決に10億円を要求してきた"
と上役に報告する。その調査にFBIが関与してきたところから話が大きくなる。そうか、日本企業は悪いヤツだ、と思うが 主人公の態度にはどこかひっかかるものがある。どうなるのかな、と見ていると彼はFBIにこっそりと語り始める。日本企業からの脅迫などとはケタの違う大きな犯罪について。
をを、これは企業犯罪と戦う勇気ある個人の物語か、と思うがそれで落ち着くわけでもない。音楽が妙にコメディタッチなのだ。 会社に強制捜査が入る場面でも、なんだか陽気な音楽が流れている。これはどうしたことか。すると
"会社の犯罪を勇気を持って暴く"
はずの主人公にもなんだか妙な点があることに気がつく。そもそもこの男は何をしていたのだ。
そこから軽快な音楽をバックに話は妙な方へ妙な方へ展開を続け、ついにはデイモンの"正体"が明かされる。
英語のWikipediaを見てみると、デイモン演じる男、事件が実在のものであったことがわかる。しかし右往左往し続ける登場人物たちの姿は、一歩離れてみればコメディとしか言いようがない。軽快な音楽をバックに語るしかないのだ。企業と戦う個人の姿を真面目に描いた映画エ リン・ブロコビッチを作った監督は、この事件をそう受け取ったのだろう。
かくして最初"なんだか地味"と思った映画は"なるほど。ソダーバーグが作るわけだ"と納得のエンディングを迎える。私は知らなかったけど、これ日本でも公開されてたんですね。
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地味だけど楽しい映画。ソダーバーグは本当にいろいろな映画を撮る人だな。