トヨタの「なぜ」

2011-04-22 06:51

トヨタ自動車では「なぜ」を5回繰り返すのだそうな。

なぜなぜ5回は、トヨタ自動車の改善活動を語るうえで欠かせないキーワードの1つだ。発生した問題に対して、その原因をとことん追究し、真の原因である「真因」を探り当てる。その過程において、「なぜだ?なぜだ?なぜだ?なぜだ?なぜだ?」と5回繰り返して問題の核心を突いていく。

via: トヨタ流が「なぜなぜ5回」なら、リコー流は「TTY」 - 記者の眼:ITpro

いや、たしかに米国に住んでいれば、HondaかToyotaを買おうと思う。中古の値段もさがらないし、砂漠の真ん中で車が停まるのはいやだから。

しかしこの「なぜ」を称揚する以下のような文章に出会うと私は「ふーん」と思う。(ちなみに以下の文章ではトヨタと明示的に言っていません。これはただの私の想像です)

たとえば某自動車会社。
 企画書をつくるときには、上司や同僚から「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」と、理由を何百回も問われます。企画はA3用紙1枚にまとめることになっています。ロジックがすっきりしていれば、A3一枚で、まとまるのです。

via: NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する: パッションとロジック

ロジックが通っている。それがなんだというのか。またまたこんなことを言い出したのには訳がある。


via: Toyota Entune and Prius V hands-on -- Engadget

Toyotaが米国で今年中にサービス開始する情報サービスだ。正直に言うが、一月初めまで「中の人」だったので以下の文章にはそうしたバイアスがかかっていると思ってほしい。

この記事にはいくつかコメントが寄せられているが、その中で一番印象に残った物をいかに引用する。

Thomas Potaire 1 day ago
We are in 2011 and interfaces in cars are still coming from 2000... ugly arrows... ugly icons... empty spaces... I guess it's the Prius' way of doing it.

via: Toyota Entune and Prius V hands-on -- Engadget
我々は2011年にいるというのに、車の中のインタフェースは2000年から来たかのようだ。醜い矢印、醜いアイコン、空っぽのスペース。これが「プリウス流」ということなんだろう。(訳:私)

「なぜ」の繰り返しは有意義だろう。A3一枚にスパッと計画をまとめるのも大いに結構だ。しかしその結果がこれである。

ロジックが通っている。それがなんだ?

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いやいや、物事をネガティブに捉えてはいけない。何事もポジティブシンキングだ。この製品の素晴らしいところに着目しよう。

この製品を「革新」著しいSmartphoneと比べるからいけないのであって、過去20年間、車載情報機器のインタフェースがどのように「改善」されてきたかを見れば、このサービスが十分「革新」に値することがわかるだろう。

って消費者はそんな物の見方しないんだよ。