しゃべるの大好き

2011-06-06 06:44

某学会の全国大会に行っていた。

世の中には「プレゼンを上手にやるコツ」みたいな記事が溢れている。そう書くからには

「多くの人はプレゼンが上手にできず困っている」

という前提があるわけだが、それとは真逆の人をたくさん見かけた。「しゃべるの大好き!しゃべってる自分が大好き!」という人たちである。プレゼンは最低にヘタなのだが、別に困っていないのだろう。

朝から晩までいろいろな発表を聞いている。例えば一件あたりの時間が20分だと、発表は15分で、質疑応答5分とかそんな決め事があるわけだ。

あるセッションにでる。私が聴き始めたときにしゃべっていた人は、時間を告げるベルの音を無視して質疑応答の時間まで発表を続けそのまま壇上から降りた。

次の人はものすごい早口でしゃべり始めた。何を言っているかさっぱりわからない。ということはこの人はあそこで何をしているのだろう。我々に何かを伝えようという気はないようだ。「しゃべるの大好き!しゃべっている自分が大好き!」と20分叫び続けたかったのか。

この人も質疑応答の時間はなしである。其の次の人も20分きっちりしゃべり続けた。

またいろいろな発表を聞いていると

「何よりもこの人は自分のしゃべりに酔っている」

という雰囲気を感じ取ることができるようになってきた。そうしたオーラを発散させている人がだらだら演説を続ける。途中で時間が足りなくなったことに気が付き、結局何をいいたかったのかわからない演説は終わった。

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目標を立てる際は自分でコントロールできるものにしろ、という文章を読んだことがある。「今月は契約を◯件とる」というのは、所詮相手のある話なので、達成可能かどうかわからない。「飛び込みで◯件営業に向かう」というのはできなければ本人がサボった、ということだ。

発表の経験が浅いうちはありとあらゆる「どこかに書いてる」間違いをやる。経験をつんでもやっぱり間違いをやる。違いは「経験をつむと間違いからの回復が上手になる」ことくらいか。つまり間違いは不可避、コントロール不能なのだ。

それどころか最高のプレゼンをやったところで聴衆に耳がなければ相手は寝てしまう。これはプレゼンターのコントロール範囲を越えている。

しかし

「時間を守る」

というのはコントロール可能な事柄だ。

それをしないと何がおこるか?全体の時間は多くの場合決まっているのだから、かならず他人に迷惑がかかる。発表時間を短縮される人がでてくるかもしれない。次の予定に参加できなくなる人がいるかもしれない。そして何よりも超過した時間×観客の数だけくだらない話で他人の時間を無駄にすることになる。

だから「はてなブックマークを集めるエントリー」風に言えば

「プレゼンを行う際、覚えておくべきたったひとつの事柄」

「時間を守れ」

だと思う。