エージェント技術とはなんなのか
2011-06-13 06:45
いや、本文ではそれに答えようとは思っていない。あまりに漠然とした言葉であって、それぞれの人がそれぞれに好き勝手な意味で使っているように思う。
先日こんな文章を見つけた。
HAIヒューマンエージェントインタラクション(Human-Agent Interaction)は,人間とエージェント,ロボット間のインタラクション設計に関する新しい研究開発分野です.ここでは,HAIの背景,目的について,わかりやすく説明していきます.
この10年間で,一般の家庭に,擬人化エージェントとロボットが普及し始めました.言うまでもなく,その代表格は,MicrosoftエージェントとAIBO, そしてRoomba(ルンバ)でしょう.オフィスアプリケーション上にイルカの擬人化エージェントが現れるの見た方は多いでしょうし,残念ながら生産中止になったAIBOもエンタテイメントロボットが一般家庭に普及する礎を築いたことは,誰も否定できないすばらしい功績です.また,お掃除ロボットRoombaは,世界で売り上げが200万台以上あり,現在も製品開発が続けられている一般家庭に最も普及している実用的ロボットです.
via: HAIシンポジウム2010 (HAI-2010)
いや、この10年の輝かしい成果が
- 入力される質問文が「お前を消す方法」ではないかと思われるほど悪評高いオフィスのイルカ
- 生産中止になって久しいAIBO
- たしかに役立つロボットだけど、これがあなたたちの言っていたエージェントなの?のRoomba
これは高度な自虐的ギャグなのか、あるいは現実を無視しているのか判断に迷う。
これらのうち、前者二つは、現在のエージェント技術の成果というより問題を表していると思う。
・エージェントの情報推薦は、的はずれであり(少なくともユーザはそう考える)、しょっちゅう言われても鬱陶しいだけ。
・AIBOといえば、以前務めた会社で部屋の中を歩きまわっていたのを思い出す。ドイツからきたインターンの学生は喜んでいたが、他の人間は無視していた。パターンを入力された機械に持続的な興味をもつことは難しい。
先日も某研究所のオープンハウスで
「自然性と満足度を最大化する聞き役の行動パターンを学習」
について熱く説明されたが、なんだかなあ、という感想しか持ち得なかった。人間が持つ抽象的な感情に「満足」とか「悲しい」とかラベルをはられた研究で、その後につながるものを見たことがない。(いや、そうした研究同士は互いにreferして孤立したクラスターを形成しているようなのだけどね)
あるいはこうした研究を行う人達から専攻分野反転の法則を導き出すべきなのかもしれん、とかそういう考え方もあるのだが。