「理由付けが明確でない?」

2011-06-20 06:48

私は、仕事で作る資料で「論理だてて筋道だてをして」と言われると「はーそうですか」と思う。
某自動車会社がやたらと自慢する「なぜを5回」を嫌悪するのと根は同じだと思う。長年サラリーマンをやってきた経験から、

「上司がなんというかは所詮感情次第」

ということをみにしみて分かっているのだ。昨日こんな記事を見た。

実験のビデオで本当に明白になったことは、被験者たちは理由を言うということです。ある理由が成り立たなくなると、別の理由を持ち出します。新たに出した理由が成り立たなくなると、また別の理由を持ち出します。そして、ポケットの中を探しても持ち出せる理由がなくなったら、"倫理ダムファウンディング"の状態になります。被験者たちは理由が見つかると思っていたのですが、理由が見つからないことに驚くのです。そしでビデオの幾つかでは、被験者は笑っています。それはおかしくて笑っているのではありません。当惑・困惑の笑いです。そして、「倫理的に悪いとわかっていること」について、悪いことを証明する理由がないという認知状態になります。それで、被験者たちは何が悪いかについての考え方を変えるのではなく、「わかりません。説明できません。でも、それは悪いことです」と言うのです。

via: 忘却からの帰還: 善悪判断とその理由付けは全く別

これは「兄と妹が◯◯した。ただし避妊はちゃんとしたし、もう2度としないと誓い合った」話を聞かされた被験者たちの反応についての分析である。

以前働いていた会社で、やっていた研究にわけのわからないクレームを付けられることが続いた。そのたびに丁寧に説明をしたつもりだが、さらにわけのわからない文句が飛んでくる。(そのクーレムの「独創性」には正直感心したものだが)

数週間後にわかったのは、親会社から片道飛行で落ちてきた社長が

「お前の研究は嫌いだ」

もっと正確に言えば

「お前は嫌いだ」

と言っているということだった。つまり「理由付けが明確でない」というクレームはそうした感情的な叫びの上辺を取り繕うためのものだったに過ぎない。

先ほど引用した例は、被験者と調査する人なのでやりとりは冷静だが、これが感情だけでものごとを判断している上司と部下の間ではこうはいくまい。全ての理由をつぶしたりすれば、状況は悪化する。

私は言葉の上っ面にこだわりすぎ、人間は所詮感情の動物だという事実をまだ理解していない。そのため、未だにこうした間違いをやる。