モノづくり大国という幻想
2011-06-24 06:34
いささか言い尽くされたトピックではあるが、昨日こんな記事を見つけた。
少なくない人のご意見が、「そんなこと(背面カバーを射出成型してから内側を削ること)をやるはずがない」というものでした。何人もの専門家と称する人たちが、いくつも理由を挙げて、アップルが別な理由でそうしていることを説明しようとしました。日本の技術者のモノ作りの常識では、そんなことを許してもらえるはずがないので、これは工程に不具合があってやむを得ずそうしたものだと説明したりします。もちろんそれは筋が通ったものではありません。そんな、いかにも場当たり的な説明をわざわざ書き込んでまで、アップルがあえてコストをかけて、ここまでやっているという事実そのものを、否定しようとします。そういう日本の技術者達の書き込みを見たときに、変えなきゃならないのは技術ではなく、彼らの頭の中身なんだと思いました。
via: 分解してわかった、アップルの"常識"はずれなこだわり| nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
覚えている人がいるかどうかわからないが、少し前の日本は「家電大国」であった。そういう人たち相手にGoromi-TVを何度かデモしたことがある。
非常に興味深かったのは、現在のTVに近いところにいる人ほど反応が悪かったことだ。そりゃ「TVの専門家」からみればダメダメなコンセプトだよね。
金出教授の「素人発想、玄人実行」の逆、「玄人発想、素人実行」を「日本の技術者」の態度に見ることは難しくない。いや、射出成形後、NC機械で削るなんてのは「常識」ではありえない、と言って
「美しさをコストより優先させる」
という「素人発想」を頭から否定する。それで顎が外れるほど安くてよいものができればいいのだが、今や品質でも価格でもApple+中国のEMSに手も足もでない状態だ。
などと
他人ごとのように否定している間は楽なのだが、自分がつくっているiPad用のソフトを改めて見直し
「全然美しくない」
ことに愕然とした。これはいけない。良いものから学ばなければ、と思いいろいろなiPadアプリをあさる。
VOGUE Germany iPad App from chris on Vimeo.
今のところ一番のお気に入りは、上記のVogueドイツ版だ。私などはファッションという言葉から一番遠いところに生きているはずなのだが、このアプリの動きには感嘆せずにいられない。よくみると、既存のiosのパーツをうまく利用して実にユニークな動きを実現していることがわかる。
批判ばかりしていないで、自分でもやらなくちゃ。もっとよく出来るはずだ。