このサービスは俺が提案したのに

2011-07-26 06:54

というのはとてもよく聞くセリフだが、実質的な意味はあまりない。
「どんどん新しい提案をだしてくれ」という人はほぼ全ての場合

「会社にとってノーリスクで、じゃんじゃんお金が儲かり、なおかつ私が理解できる範囲で」


と条件付きでしゃべっているのだ。であるからそういう人に何を言おうが却下されるのは最初から決まっていることなのだ。さて、先日こんな記事を見つけた。

株式会社NTTぷららは、自社が運営する映像配信サービス「ひかりTV」において、ソーシャルテレビサービスの取り組みの一環として、放送中の番組画面上でTwitterのツイートを表示するTwitter連動機能を、8月27日(土)・28日(日)に独自編成チャンネル「ひかりTV チャンネル」で放送予定のプロ野球「埼玉西武ライオンズ 対 北海道日本ハムファイターズ」の試合中継で提供します。

via: ぷらら|会社情報|ニュースリリース

TVの放送画面は神聖不可侵なものだから、訳のわからないインターネットの情報を流すアンドまかりならん、と言っていたのはそう遠くない過去のことだが。

さて

NTTぷららじゃないけど、同じく映像配信事業をやっている会社向けにあれこれ提案をだせ、ということになった。私はTwitter,ソーシャルメディアとの連携をした「ソーシャルTV]を提案した。

しかし(例によって)これはボツとなった。理由は社長が「Twitterの何が面白いかわからん。」と言っていたからだ。この社長は自分で試すだけいい人であったとは思う。ボツの理由は
「技術的に難しいから」
ということだったが。

いや、同じ提案を考えつき、同じようにわけのわからない理由でボツを食らった人は山のようにいると思うのだ。そういう人はナイチンゲールの爪の垢でも煎じて飲むべきだと思う。

裕福なジェントリの家庭に育ったナイチンゲールは看護師を志し、のちに婦人病院長となった。
 しかし、クリミア戦争が勃発すると、翌1854年、自ら志願して38名の看護師を率い従軍した。
 ここまではご存知の通り。
 
 しかし従軍看護団の結成と指揮を任されて現地スクタリに赴いたナイチンゲールを待っていたのは、戦争よりもたちの悪い衛生環境と官僚たちであった。

 兵舎病院は極めて不衛生であり、官僚的な縦割り行政の弊害から必要な物資が供給されていなかった。
 さらに現地のホール軍医長官らは、縦割り行政を楯に看護師団の従軍を拒否した。
 ナいチンゲールたちは、病院の中に一歩でも立ち入ることができなかった。

 しかし伝記作家のストレイチーは記す。
 「彼女は必要とあらば、天使にも、悪魔にもなったのである」

 ナイチンゲールたちは病院内に入らずともできる仕事、どの部署の管轄にもなっていないために放置同然だった病院の便所掃除に目をつけ、まず便所掃除を始めることによって病院内へ割りこんでいった。

via: 問:史上最も有名で、最も戦闘的だった統計学者は誰か? 答え:ナイチンゲール 読書猿Classic: between / beyond readers

もし自分が本当にそのアイディアに賭ける気なら、上司などに頼らず他に方法はあるはずだ。そういう努力をしたが駄目だった、となれば「俺が提案したのに」と愚痴っても、他人が聞いて面白い話にできるとおもうのだが。

異業種交流会とかに行くと痛感することだが、ありきたりな失敗談とか成功談はつまらん。失敗なら失敗でその業界に詳しくない人が聞いても笑える話になるくらい徹底してやらないと。