HIS2011感想(その2)
2011-09-21 06:33
というわけでインタラクティブセッション(つまりはデモ、ポスター発表)からいくつか印象に残ったものを。
その1:インターホン玄関子機のタッチパネル化についての実験的検討
川澄 未来子 ( 名城大学 ) 玉木 克志 , 高幡 幸太郎 , 阿部 智仁 , 花井 雅敏 , 中島 菜月 ( アイホン )
ちなみにうちの玄関にはアイホンがついている。世帯主はケータイすら持っていない。どうでもいいですね。すいません。
インターホンで玄関側に設置する子機に画面をつけたらどうなるか。どのような可能性が広がるかを研究しているとのこと。一番面白くないと思ったのが
「本人のかわりにポケモンがしゃべる」
というやつ。これを聞いたときはがっかりしたが、帰らなくてよかった。この後が面白いお。
「親機側で、文章を選択すると、それを他人の声で読み上げてくれる」
これはいい。「子どもだな」とか「女性が一人か」とか相手に悟られる心配がない。
「待たせている間、広告を表示する」
一番気に入ったのはこれだ。今や私は民放TVなどみない。だから何億かけてTVCMなど製作・放映したところで何の役にもたたない。私が唯一見る動画のCMは電車内のディスプレイに表示されるものだ。
つまり今や人はTVの前で呆然と座ってはくれないのだ。であれば、人間がぼーっとす動けない時間をつかまえることが必要になる。インターホンというのはその点とても気に入った。第一に押した人間はそこから動くことができない。第二に他にすることがない。(何かをするにはあまりに短い時間だからだ)第3に画面に何か必要な情報が映し出されるかも知れない、と思えばそこから目を離すことができない。
話を聞くと、ナースコール用の端末も製造しているとのことだが、入院して暇な患者さんであれば、絶対CMを見てくれると思う。だって暇だもん。他にも
「そういえば、エレベーターの中って動けないし、気まずいからディスプレイがあると救われますよね」
とかあれこれ話が弾んだ。
その2)漫才におけるオープンコミュニケーション構造の定量化 −観客の有無による非言語行動の比較−丹野 匡貴(同志社大学)
漫才が観客がいるときといない時でどのように変化するかを調査した研究。一番分かりやすい指標としては
「観客がいないと、時間が2/3になる」
というものだろうか。なんでも、ボケは変わらなくても、ツッコミがはいるタイミングが変わるのだそうな。ボケでお客さんが笑うとそれと重なるのを避けるのだとのこと。
岡山県立大学のどこかが「聞き手が頷いていることによる発表者への影響」を長年研究していると思うが、これもそれと関連した領域の研究と思う。
その3)ニブログによる災害時の周辺状況の収集と提供の支援 横部 径
Twitterによる情報を、災害時に利用しようという研究の一つ。Twitterの情報発信者に「信頼度」という値を設定しているところが特徴。デマを流すと信頼度ががたっと下がるのだそうな。
議論しているうちに気がついたのだが、こうしたシステムは「災害が起こったその時」に動いてもらわなくては困る。そこから信頼度が上がったり下がったりするのもいいが「今の情報」が重要なのだ。
となると、普段からユーザに情報の信頼度をつけておくことが必要ではないか。私の考えでは
「拡散希望」
と書いてあるTweetを一回でもRTした人間は全て信頼度0にしてもいいと思う。あとこれは予想だが、フォロー関係を分析すれば
「信頼度が高いクラスターと信頼度が低いクラスター」
が分別できるのではないかな。信頼度が低いクラスターが「みんな同じ意見を持っている」と安心してしまうところがこうしたソーシャルメディアの恐ろしさなのだが。
その4)HI は「もの」にならない?:HI 技術が事業化に結びつきにくい 要因に関する経験的考察 新西 誠人
HIの面で特徴があったが事業化につながらなかったプロジェクトを題材にその要因についてインタビューした結果の報告。
「つまるところ、金を持っている人間の考え方一つではないでしょうか」
といったが、まあそれだと身も蓋もないので別の方向性を考える。
分析の結果要因は三つあり
・HIが製品に近づくにつれ応用範囲が狭まり、事業規模が小さくなる。
・少数のユーザの声に振り回され、特定用途、特定ユーザに特化してしまい応用範囲が狭くなる。
・開発している間に他の技術が発表されてしまう等。
このうち2番目だが、これは製品を設計するほうが悪い。ユーザの声に耳をかたむけるのと、ユーザの言う事を聞いてそれを反映させることは全く別だ。
受注製品ならいざしらず、一般消費者向けに設計するのであれば、勇気と責任をもって
「ユーザの声を無視する」
ことができなければならない。確かAppleのフィル・シラーがそういったことを述べていたように記憶する。(とはいったが見つけることができない)
とかなんとか言ったところで、金を持った人が押すプロジェクトはそれがなくても通るし、そうでなけりゃダ(以下略)
その5:片付けを楽しく導く収納家具の提案 脇屋 玲央
独身男の部屋におくための、収納家具。これはすばらしい。
まず独身男は、まともに服をたたみはしない。だから適当におって上から入れらる構造にした。
また横にスリットがあいており、そこから引きずりだすことができる。服の山をかきわけるよりずっと効果的だ。
またスリットから見える様々な色の生地は見た目にも美しい。つまりずぼらでありながら、見た目を整えるということができるのだ。私ともう一人(名前を知らない人)で
「是非これ売ってください。」
とお願いしてきた。いや、無印良品かなにかで出せば売れると思うのだけど。