情報産業とは何か
2011-11-17 07:16
昨日こんな文章をみつけてひっくりかえりそうになった。
人間は体験情報をもとめている。さきほどのオートバイや自動車もこの体験情報を人間に提供するための手段であると考えるならば、自動車産業もまた情報産業の一種であるといわざるをえないであろう。じっっさい、現代の自動車産業には、かなりの程度にそういう側面があることは否定出来ない。それは単にA地点からB地点まで人間を移動させるためのエネルギー装置であるというにとどまらない。人間は、移動のためと同時に、そののりごこちをたのしんでいるのである。情報の文明学 p82
この文章が書かれたのは多分1980年代である。しかしいわんとしていることは「ユーザエクスペリエンス」そのものだ。この後日本はバブル景気にうかれ、ぽこん、とやられそして「モノづくり」に幻想をいだいたりあれこれしている。
しかし
ここ数年「なぜAppleの製品は優れているのか」が論じられる時、必ず顔を出す「ユーザエクスペリエンス」はとっくの昔に主張されていた。日本の製造業はそれが何かを理解しようと(無駄な)努力を続けている。
via: 【賞金100万】デンソー、クルマのアプリコンテスト審査員に聞く! どんなアプリ作ってほしいですか? : ギズモード・ジャパン
どちらも移動できるというのが、キーポイントな気がします。
このコンテストを象徴的に表しているのは以下の一文。
なお、審査において、いずれの応募作品もグランプリにふさわしいレベルに達していなかったと判断されたため、グランプリの授賞は見送りました。
via: デンソー、スマートフォン用アプリの開発コンテストの入賞作品の発表と表彰式を開催|デンソー
なぜグランプリが存在しないか?そもそもデンソーはスマートフォンアプリ「なんか」に価値を認めていないからだ。「グランプリにふさわしいレベル」とは何か彼ら自身も説明できないと思う。つまりそんなものは存在しないのだ。
彼らと彼女たちは未だに「自動車産業も情報産業である」という言葉の意味が分かっていない。ハードウェアを作り、それを納品してお金をもらう。そこから一歩も抜け出していない。
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私が梅棹 忠夫氏のことを知ったのは最近だが、読み進めるにつれて何度も顎が外れそうになる。こうして長年書籍が出版され続けているということは多くの人が読んだのだろう。しかしなぜ誰も彼の言葉を理解し、実践しようとしなかったのか?
Amazonのレビューから引用しよう。
読み進めながら、何故これまで読まなかったのかと後悔する。
via: Amazon.co.jp: 情報の文明学 (中公文庫): 梅棹 忠夫: 本
40年前に書かれた論文でありながら、現代の状況をこれほど的確に
明察していることには、驚く他、言葉が見あたらない。
私も全く同感である。