ある「新システム」の誕生について
2011-12-14 07:42
先日こんな記事を見つけた。
株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、社長:加藤 宣明)は、施設検索や音楽再生などのスマートフォン用のアプリケーションを、スマートフォンの操作感を維持しつつ、車内で安全に据置型カーナビゲーションシステム(以下カーナビ)のディスプレイ上で操作できるようにした車載連携情報サービス「ARPEGGiO(アルペジオ)」を開発しました。本サービスは、近年、スマートフォンユーザーが急速に増えている中、ドライブ中に、安全性を損なうことなくスマートフォンの利便性を享受することを狙いとしています。
via: デンソー、カーナビ画面でスマートフォンを操作する情報サービスを開発 ~車室内でスマートフォンアプリケーションの安全な利用を実現~|デンソー
自信をもっていえるが、私ほどこのニュースに複雑な感慨を抱いた人はいないだろう。
調べればすぐわかることなので、自分で書くが私は以前デンソーの研究開発子会社-デンソーアイティーラボラトリーに勤務していた。その会社の使命は
である。そうか。IT+自動車。わくわくするではないか。私はいろいろな提案を出したし研究・開発もした。でもって報告書を書くと
「君の報告書は書き方がなっていない」
と説教をくらうわけだ。言われた通り書きなおす。内容が無茶苦茶になる(というか上司が理解できる内容にする)のも厭わずとりあえずハンコを押してもらえるように書く。研究企画書に「理由付けがなってない」とダメ出しを食らう。理解してもらえるレベルに変更して書きなおす。そんなことを何年も繰り返していた。
さて、冒頭引用した新プラットフォームである。ドライブ中に安全にスマートフォンの利便性を享受する。すばらしいではないか。私が以前勤務していた会社の理念にぴったりではないか。
不思議なのは、デンソーアイティーラボラトリーのサイトにはこれに関する情報が何もなく、私がその次に勤めた会社のサイトにこのようなリリースがでていることだ。
この度ARPEGGiOの標準プラットフォームとして採用された「UIEngine」は、プラットフォームに依存しない軽量なクライアント、サーバ・クライアント技術によるインタラクティブなGUI、高い拡張性と移植性を備えたソフトウェアソリューションであり、ARPEGGiOのあらゆる端末への導入を強力にサポートします。
合わせてUIEジャパンは、ARPEGGiOの開発においてUXコンサルティングサービスを提供し、スマートフォン、カーナビそれぞれの利用シーンを想定した最適のユーザー・エクスペリエンスの設計を行いました。
via: UIEジャパンのソフトウェアソリューション「UIEngine for Automotive」がデンソーの車載連携情報サービス「ARPEGGiO」に採用|株式会社UIEジャパン
私がこの会社を退職してからほぼ1年になるので、このあたりの事情はわからない。私が知らないだけで、この新プラットフォームには、デンソーアイティーラボラトリーが開発したスーパーテクノロジーがたくさん盛り込まれているに違いないと確信してはいる。(ちなみに全部UJMLで書いてくださいね)しかしなんとなく以前読んだこんな記事を思い出した。
あのね、ま、言いづらい話なんですけど、
via: 宮本茂さん、『Wii Fit』などを語る。
世の中には「頭のいい人になりたい人」というのが
すごくたくさんいてね、多くの場合、
その人たちが迷惑をかけるんですよ。
なぜかというと、頭のいい人になりたい人たちは、
すごく頭のいいことを考えて、
みんながそれに従えば
世の中がよくなると思ってるんです。
で、法律や、決まりや、
マニュアルをたくさんつくる。
それに従えば幸せがやってくると思って。
「1、こうするといいぞ」とか、書くんです。
でも、みんなは、頭のいい人の思惑を外れて、
「えっと、4番はなんでしたっけ?」とか、
「俺、じつは読んでないんですよ」とか、
「まぁ、いいじゃないですか」とか言うわけです。
そうすると、頭のいい人になりたい人たちは、
「どうして大衆ってバカなんだろう」って
もう、涙を流しながら思うんです。
「だから戦争が起こるんだ」とか言うんです。
でもね、彼らが言うようなことが、
世の中を変えたことは一度もないんですよ。
まあ、変える手伝いくらいにはなるにしても、
本当になにかを変えるようなものっていうのは、
「こっちのほうが美味しかったぞ」とか、
「つかってみたら便利で、もう戻れないや」とか、
そういう「事実が先に突っ走ったこと」ばかりで、
決まりやルールは、あとからできるんです。