WISS2011から帰ってきたよ

2011-12-05 08:02

というわけで12/1-3までWISSというワークショップに行ってきたのだ。
まず渡邊氏の名言を引用しよう。

ある人が「改革します!」と言って、ほんとうに改革を実感したのって人生初めてかもしれない。#WISS2011

前にも書いたことだが、数年前WISSには閉塞感、行き詰まり感が漂っていた。あまり大きな声では言えないが

「発表するから参加するけど。。このセッションはでなくてもいいか」

というのがちらほら存在していた。

しかし

今回は一瞬も気が抜けない、というか気を抜きたくない時間が続いた(そのせいか今はよれよれだが)発表は面白いし、その後の議論もすごい。ナイトセッションでも興味深い内容が紹介され、議論が続く。

もちろんそれは参加者全員の努力の結果なのだが、「全員が努力する」だけでは何も変わらないもの事実である。この2年間委員長として改革を推進した後藤氏の力には感服以外の言葉がない。

今年は特にプログラム委員として、その努力と結果を舞台裏からも見る、という幸運に恵まれた。二日目の晩に「全員参加型議論」が行われ、世の中に対する提言をまとめることとなっていた。その前の夕食時私は後藤さんと隣になった。

私が席を立とうとするとき、後藤さんが「部屋の議論がうまく進むように協力ください」と私に言った。新しい試みを行うとき、プログラム委員長にはどのくらいの重圧がかかるのか。それは私の想像力を超えるのだけども

「努力します」

と私は答えた。二部屋の人間が一つの部屋に集まり今回のWISSでの発表を元に、世の中に発信したいメッセージをまとめる。例えば無難にこの企画を行いたいのなら

「参加者の中でベテランを議論取りまとめ役に指名する」

ことも可能だろう。しかし登壇、デモ発表がない若手を事前調整まったく無しで指名している。「全員参加型議論」という目的を考えれば確かにこれは正しい方法だ。しかしそれを実践するにはどれほどの勇気が必要だろう。

その結果がどうだったかは、後日公表されるであろうその提言集を見ていただくしかない。しかし私は自分たちが出した結論、それに至る議論の過程にとても満足している。私がそのプロセスの役にたったか、あるいは足をひっぱったかは同じ議論部屋にいた人たちに聞くしかない。努力したことだけは断言できるけど。

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というわけで、後藤さんの委員長としての任期は今年でおしまい。来年から2年間は東大の五十嵐教授だ。今年五十嵐さんが発表した「文の構造を明示的に指定・表示することによる異言語間コミュニケーション」には正直言って驚愕した。(質問者の方にも「衝撃を受けました」といっていた人がいたが)

五十嵐さんが単著で発表する論文を観たのは久しぶり。しかもかの有名なTeddyとは全くの別分野だ(その背後に流れる思想は一貫しているのだけど)いや素晴らしい。

しかし

実はこの「論文」は「前フリ」であったことが最後に明らかになる。五十嵐さんの挨拶で、最初に「まあ気楽に聞いてください」的なことが語られる。なぜこんなことを言うのかなと思っていたら

「論文を出してください。論文も出さずに最近のWISSはつまらないなどと文句を言うのはいかながものか。特に最近発表していないベテランもキチンと投稿するように(意訳)」

という宣言が登場する。なるほど。先ず隗より始めよ、というわけか。

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というわけで来年以降のWISSにも大きな期待がかかるわけだ。私は今年でプログラム委員終了なので、その様子を裏側から見ることはできないが、なんとか来年も論文を出したいと思う。しかし五十嵐さんの呼びかけが世の中に届くと、倍率上がるんだよね。。