批評することと実際に行うこと
2012-01-14 04:10
批評することと、実際に行うことは全く別の事象であり、両者にはほとんど相関関係はない。
この事実を私たちはあまりにもしばしば忘れてしまう。元カーネギー・メロン大学の教授、ランディ・パウシュは最終講義でこう言った。
Syl said, it took me a long time but I've finally figured it out. When it comes to men that are romantically interested in you, it's really simple. Just ignore everything they say and only pay attention to what they doSylは言った。ずいぶん時間がかかったけど、とうとうわかったの。男性があなたに気があるそぶりを見せた場合、「言う事」は全て無視して、彼が「何をするか」だけに気をつけなさい。
これも「言う事」(つまり批評すること)と実際の行動の間には何の関係もないことを示している一例と、、いえんことはないか。
さて、先日こんな文章を目にした。
今、日本の家電メーカーに一番必要なものは、「どんなライフスタイルを人々に提供したいか」というビジョンとパッション(=熱い思い)だと思う。どのOSを使うのかとか、何メガピクセルのカメラを搭載するとかは、何らかの目的を達成するための「道具」に過ぎない。そして、売り上げとか利益とかマーケットシェアは「結果」にしか過ぎない。
「はっきりとした目的意識を持った、魂のこもったもの作り」が必要とされているのだ。
via: Life is beautiful: 今、日本の家電メーカーに一番必要なもの
この主張には全面的に賛成する。問題はこれが「批評家」としての言葉であり、この文章を書いた人が実際に「行っている」ことと全然関連性がないことだ。では具体例を観よう。
Instagramとコンセプトは似ていたが、「魂のこもりかた」が天と地ほどの差異があったPhotoshareというサービスを誰か覚えているだろうか?前掲のように「魂がこもった物作り」を主張している中島氏が自ら作り、リリースしたサービスである。ではそのサービスがどのような評価を得ているか。
Version 1.21 - 11-Oct-2011
Instagramよりずっと前から、世界で沢山の人に愛され続けているんだから、放置しないでちゃんとバージョンアップして欲しい。マジで!
via: Big Canvas PhotoShare reviews -- AppComments.com
Version 1.21 - 05-May-2011
画像が全く見えない。これで、どうshareしろと言うのか?
長く使ってただけに残念だ。同じ会社のアプリはもう使わないだろう。
原発の対応の遅さをどうこう書いてるよりもすることがあるのでは?
批評家としての中島氏に期待する気持ちは理解できないでもないが、「実行家」としての中島氏に今だ幻想を抱いている人が多いのには正直驚く。
サービスを継続する気がないのなら、素直に「すいません」とサービスを閉じるぐらいのことができないものかねえ。それすらもやらない人の話しを聴くために今だ多くの人が集まろうとしているようだ。
とは聖書の言葉だ。考えてみれば世界中にあまた存在する「神様」も何もしてくれないけど、代理人を通じて「批評」「お布施の収集」だけはしてくれる存在だったな。