なぜルンバを作ることができないのか
2012-02-14 06:36
実家で第活躍中のルンバである。お掃除嫌いのうちの奥様もほしがっているようだ。(今年の誕生日プレゼントにどうだろう)
でもって調べてみれば何社からか類似品が発売されているようだ。しかし名だたる日本の家電メーカーはその中に入っていない。
あの形を最初に考えたiRobot社の発想力には敬意を表せざるを得ない。しかし日本の家電メーカーにそれを望むのは無理だ。じゃあせめてかつて日本の得意技と言われた「模倣」をと思ったら、そうもいかないようだ。
掃除ロボット市場は右肩上がりで伸び、昨年11月のルンバの販売台数は前年同期比2倍以上。単価も通常の掃除機が1万円弱からに対し、ルンバの最上位機種は7万円超と高価格で販売されており、メーカー側にとっても収益性の高い魅力的な商品なはずだ。
それなのに、技術力で世界の家電業界をリードしてきた日本メーカーが、どうしてルンバ発売から10年以上が経過しても同様の製品を製造しないのか。
「技術はある」。パナソニックの担当者はこう強い口調で話しながらも、商品化しない理由について「100%の安全性を確保できない」と説明する。
例えば、掃除ロボットが仏壇にぶつかり、ろうそくが倒れ、火事になる▽階段から落下し、下にいる人にあたる▽よちよち歩きの赤ちゃんの歩行を邪魔し転倒させる――などだという。
家庭で使う家電製品の第一条件は「安全性」だ。一方、日本の製造業は「リスクを極端に嫌う」傾向が強いため、開発の技術力がありながら、獲得できる市場をみすみす逃しているケースも指摘されている。
via: Business Media 誠:日本の家電各社が、「ルンバ」を作れない理由 (1/2)
今の不調を象徴するような力強い言葉だ。これにはこんなコメントがでている。
多様で複雑な家庭内環境で、信頼性高く自律的に掃除を行えるロボット技術は、その先にある汎用的なホームロボットへ向けた重要なステップだ。iRobotやSamsungはユーザーからのクレームという形で将来不可欠なノウハウを着々と手にしている筈。
via: Twitter / @s_kajita: 多様で複雑な家庭内環境で、信頼性高く自律的に掃除を行 ...
というかこういうことだ。自動車メーカーやらなにやらが開発しているヒューマノイドロボット。あれがルンバよりはるかに危険なものであることは猫でもわかる。
しかしそのルンバすら「100%の安全性が確保できない」として商品化に踏み出さないような日本メーカーがヒューマノイドロボットなんぞ商品化するわけがない。
「100%の安全性」を確保する一番の方法は何も作らないこと。彼らは今その夢を実現しつつあるのだろう。
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というか、この場合の「リスク」とは客観的、定量的なリスクではなく「心情的なリスク」であることには注意をはらう必要がある。
福島原発の事故以来、「どんな経済的犠牲を払っても、原発廃止を」という報道はずいぶん観たが、「どんな経済的犠牲を払っても、自動車の廃止を」という意見は観たことがない。
客観的に見よう。もうすぐ大震災から1年だ。原発事故で何人の方がなくなったのだろう?カウントの仕方にもよるが、この一年で交通事故で死んだ人の数-多分4900人以上--より少ないことは間違いない。(多分この意見に反対する人はいるだろうが)
しかし(私にはこの理屈が理解できないのだが)交通事故のリスクというものは、日常生活に溶け込んでいるが故に「許容できるリスク」とみなされているようなのだ。結果として誰も「交通事故0にするための技術に投資を」とは言わない。
この「お掃除ロボットのリスク」も同じようなものだと思う。実際に数社が商品化しており、10年の間にどのような訴訟が出たかもわかっている。それでもそのリスクは「心情的」に許容できないのだろう。
かくして結論は
「今までやってきたこと(このリスクは心情的に許容範囲内である)に磨きをかける」
ということになる。儲からないことが明白になっているTVの画質改善をしましょう。4k2kです。3Dです。
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この記事を引用したTwitterの発言を観たが。。なんというか。。TwitterというのはURLの引用などで画一的に検索してはいけないメディアだな。ソーシャルグラフというか、ある程度の信頼のネットワークを通じてならば興味深い発言に触れることもあるのだが。