自助論

2012-02-23 06:56

といっても、この本の話じゃないよ。

先日姉からある人の写真が送られてきた。私の弟に似ているが、もちろん弟ではない。これは誰だ、と聞くと天皇陛下の手術を行った人だと返事が来た。

そのメールに引用してあったURLから引用。

僕が大事にしているのは、正直に言うと第一は患者さんではないです。一番は「プライベート」、二番目に「仲間」を大切にするようにしています。そして次に「患者さん」です。







仲間がいなかったら手術できないですから。患者さんを優先して仲間を大事にしなかったら、チームはバラバラです。ここを履き違えてはいけません。








自分と仲間のコンディションの両方を整えて、はじめて患者の為になることが出来る


via: 天皇陛下の執刀医のおどろきの経歴 - NAVER まとめ

この人は一部では「ゴッドハンド」と呼ばれているようだ。この記事から判断する限りひたすらコツコツと努力した人なのだろう。

他人が見ると

彼は手術が必要な患者がいたら、真夜中であろうとすべて受け入れる。テニスでのしぶとさは、患者のためできることをするという彼の姿勢に通じていると思う

via: 天皇陛下の執刀医のおどろきの経歴 - NAVER まとめ

という人が、「一番大事なのは患者じゃなく、自分のプライベート。次が仲間、次が患者」という言葉には重みがある。

この言葉を聞いて思い出したのは、G.M.ワインバーグのスーパーエンジニアへの道だ。


今手元にないのでうろ覚えで書くが、この本にも

「一番大切で、かつ難しいのは自分を助けること」

という主張があったように記憶している。機内の気圧が急激に下がったら、まず自分の酸素マスクをつけ、その上で子供の酸素マスクをつけなさい、とは飛行機にのるたびに聞かされること。

とても大事で普遍的な教訓と思うのだが、あまりにもしばしば忘れてしまう事柄でもある。

------
同じ日にこのような記事を見る。

しかしこれと類似する現象は今に始まったことではないだろう。補給も不十分な状態で行軍し数万の兵士が餓死したインパール作戦や、バンザイ突撃等々、上が無謀でも現場は死ぬまで頑張るのだ。馬鹿らしいと分かっていてもだ。

自分は、何度も同じような結論になるが、やはり現代においても、もしくは自分も含めて日本人の精神性は家父長的な村社会構造に根ざしているのではないかと思う。モラルハザードが良いとは思わないが、多くの労働現場で発現されない現状は『1人だけ違う行為をする』という事に対して、凄まじい心理的制約があるからだろう。

via: 『ブラック企業と旧日本軍』(ワタミ化と東南アジア化) - ゴムホース大學

少し前に観た日本映画を思い出す。特攻隊員が

「特攻に志願するのは、民族的な情熱だ」

とかなんとか言う。ワタミでも同じようなロジックがまかり通っているのだろう。個を殺して集団に奉仕する。日本人の得意技だ。

しかし

私は「まず自分の酸素マスクをつける」人間でありたいと思っている。それ故「黙って営業の演説を2時間聴くのが集団の規範」とか「上司より先に帰宅するのは論外」という組織では常に嫌われるが、まあしょうがない。ちゃんと目を開けば、多くを学べる人だってちゃんといるのだ。