強大な敵に立ち向かうために
2012-04-26 07:24
今日は、まとまっていない内容をだらだら書くよ。
先日来「パラダイムの魔力」という本を読んでいる。
パラダイムとは「ゲームのルール」であり、新しいパラダイムを導入する、ということは「ゲームのルールを変える」ということである。
既存のルールを考えている限りにおいて、「とうてい叶わない」相手を打ち負かすにはどうすればよいか?孫子が解くところと、この本が解くところは一致しているすなわち
「ゲームのルールを変えること」
だ。我々はその実例を目の当たりにしている。
Microsoft ruled the PC market for decades with utter dominance. But today, as the future shifts toward mobile devices, things are not looking good for Microsoft.
via: Microsoft's Mobile Comeback Is Looking Terrible
今から7年前であれば、「スマホといえば、Symbian,Palm,そしてRIM(Blackberry)」であった。彼らのシェアは圧倒的であり、ゲームのルールを支配しているように見えた。
そこに新たに参入するにはどうしたらいいだろう?ゲームのルールを研究し、理解し、そしてその中で打ち勝つ方法を見つける、というのは一つのやり方だ。かくしてGoogleはAndroidという名の
「よりよりBlackberry」
を作ろうとした。それがこの図である。
The designs have surfaced in Oracle's case against Google over Java,
via: This was the original 'Google Phone' presented in 2006 | The Verge
しかしその直後、2007年の1月をもってゲームのルールは全く変わってしまった。私は当時の事をよく覚えている。「賢い人」は
「iPhoneのどこが新しいの?こんなの今までにあったじゃない」
といくつも例を挙げた。彼らは「既存のパラダイム」の中で生きる幸せな人達であった。
しかしGoogleはそれほど「賢く」はなかったようだ。ゲームが一夜にして変わったことを見て取った。詳細な経緯は不明だが、そこから大急ぎでAndroidを作りなおしたのだろう。
(余談だが、iPhoneのプレゼンテーションを見て唖然とした私は「これはドレッドノートだ」と思った。今にして思えばその感覚は当時自分が思っていたより正しかったと思う)
そしてこの「パラダイムシフト」はそれまでスマートフォンを全く持っていなかったアウトサイダー(Apple, Google)にとって有利に働いた。捨てるべきものがなく、身軽にシフトできたからである。結果は見ての通り。Palmは消え、RIM,Microsoftは「時々話題に登る」だけである。MajorityはAppleとAndroidだ。
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こうした「パラダイムシフト」はこれまで何度も起こってきた。
冒頭に挙げた本では、「パラダイムシフトを捕まえるのに非常に巧みな企業」として「日本企業」が挙げられている。クオーツという技術革新によるパラダイムシフトを捕まえたのは日本企業だった。ウォークマンというパラダイムシフトを創りだしたのはソニーだった。読んでいて悲しくなる。20年前は確かにそうだったのだ。
もう一つ例を挙げよう。日本軍はパラダイムシフトを起こした。日清戦争の黄海海戦は「大艦巨砲主義」に、快速で運動する艦に搭載された発射速度の早い速射砲が対抗しうることを示した。ちょんまげと刀から世界有数の軍隊を持つにいたった成長ぶりは確かに目覚ましかった。
しかし
そこから彼らは自分たちが作り上げたパラダイムのなかで生きるようになり、引いては
帝国陸軍を考えれば、彼らは彼ら自身が作り上げた「帝国陸軍像」に一体化することに対して最大の情熱を捧げていたように思える。現実が その「帝国陸 軍像」を拒否すればするほどかたくなにその幻想にしがみつこうとしたのではなかろうか。つまり彼らにとって一番大事なもの(つまり自分が一体化しているも の)は陸軍の軍人としてのメンツであり、「戦闘の勝利」ではなかったということだ。
via: 失敗の本質の一部
となったように思える。そして私は今の日の丸家電メーカーにも同じような雰囲気を感じるのだ。イノベーションを忘れ、組織内抗争に明け暮れ自滅していったソニーを筆頭として。
ではどうしたらいいのか?なにから学ぶことができるのか?
産物ではなく、プロセスに同一化すること、そして単に保持・所有するプロセスにではなく大胆に選択し、適応するプロセスに同一化することは、こ れまで集団的に実現することが難しかった。
共和国初期のローマ人、15世紀末から16世紀初頭のイタリア人、エリザベス女王時代のイギリス人は目的にとって有益だと判断された過去の遺産 の大部分を 保全しつつ、新しい機会を捉えることに非常に長けていたように思える。
「海上砲撃:イノベーションの事例研究」より
と文章だけ引用して今日は唐突におしまい。