巧みに世を渡るということ

2012-05-08 07:21

今朝こんな記事にでくわした。

そして、日本はその失敗を既に経験していることを忘れてはならない。それはNTTドコモのi-modeである。

 携帯のネット接続の仕組みを世界で最初に作ったのはi-modeである。そして、i-modeもソーシャル・ゲームと同様に日本発のプラットフォームであった。しかし、i-modeが世界標準になることはなかった。

 その理由としては、海外展開やスマホへの対応などの戦略面で失敗したことが大きいだろう。ただこれに加えて、i-modeの全盛時における世論の批判も影響した面があるのではないだろうか。実際、今になって思い返してみると、例えばドコモの独占性に対する批判や、課金手数料の高さへの批判など、様々な批判があった。

 それに対して、これも明確な証拠がある訳ではないが、明らかにi-modeを研究して進化させたと考えられるアップルのiTunes Storeを中心としたエコシステムやグーグルのAndroid Storeの仕組みが、今や完全に世界を制覇した。i-modeのお膝元である日本市場も席巻しているのだ。

via: ソーシャル・ゲームで繰り返してはならないi-modeの失敗 - ヒット研究所 - 日経トレンディネット

もうどこから突っ込んでいいかわからないくらいなのだが、今日書きたいのはそのことではない。この著者の肩書である。

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、エイベックス・マーケティング取締役。1962年生まれ。一橋大学経済卒、コロンビア大学ビジネススクール卒業(MBA)。86年通商産業省(現・経済産業省)入省。

via: ソーシャル・ゲームで繰り返してはならないi-modeの失敗 - ヒット研究所 - 日経トレンディネット

いや、実に輝かしい経歴ではないか。この人自身は絶対に語ってくれないと思うが、これだけの「知性」を発揮しながら、このような経歴を作り上げる技というのは驚嘆に値するのではなかろうか。

もちろんここのポジションにおいてこの人がどのような役割を担っていたかは別問題である。しかしこうした人に出会う度

「渡世術」

というものは存在するのだ、と実感する。名前で検索すればいろいろ興味深い記事がでてくる。別に今に始まったことではなく、こうした無茶苦茶なロジックはこの人の得意技なのだな。そしてそうしたロジックを必要としており、金を払う人もいる、ということなのだと思う。

考えてみれば、GREEやDeNAがやっていたような方法で金を儲けることもできるし、地道に汗をかき、世のため人のためと思って金を失うこともできる。勧善懲悪を好むのは私のような凡人の常だろうが、世の中はもう少し複雑にできているようだ。

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さて、岸氏にとっては噴飯ものだろうが、ようやくDeNA、GREEがやってきた虚業に幕が降りようとしている。

電車の中では吊り広告を読む。ここ数ヶ月目についたのは、「カードゲーム」の宣伝だ。今日もTOKIOなる人達がカードになって広告の向こうから我々に呼びかけている。もっと金を使えと。

Facebookで、友達の友達をたどっていき「DeNAに勤務してます」とかいう人が子供をだいた写真を見る度とても複雑な気持ちになった。この人は自分の子供に自分がやっている仕事について誇りをもって説明できるのだろうか、と。

ちなみに私ミサイル作ってましたけど、他人に自分の職業説明するのに躊躇したことはなかったよ。相手が引こうがなんだろうが、公明正大にやっていた仕事だから。そして自分が作った製品が使われないことが、一番の願いだった。

ここ2−3年でそれらの企業に入社した人たちは、そうした実態を知って入社したわけだから、まあ自業自得。しかしDeNAが「ビッダーズ」を地道にやっていたころに入社した人たちには同情を禁じ得ない。あの頃は志のある企業だ、と陰ながら応援していたのだけどなあ。

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もう一つ、このニュースに対してどのような反応を示すか是非Twitterを分析したら面白いのではないかと思うのだ。

ミログを「前途有望な若者を潰すのはけしからん」と言っていた人たちと重なるのか重ならないのか。あるいは他の問題に対するスタンスはどうなのか。そうした相関関係をとっていくと個人にとってとても面白いデータがでるのではないかと想像するのだが、とか書いているくらいなら自分でやれ、ということですね、すいません。