革命の作法
2012-05-15 06:49
さて、ようやくしかるべき扱いを受けるようになりつつあるカードゲームである。電車の吊り広告には
「TOKIOカードを集めてイノキングを倒せ」
とかなんとか宣伝が残っている。あの幼稚な絵柄のカードに大金を払う人は私が思っているより多いのだろう。TOKIOという人たちは金さえ貰えればなんでも出る、というわけでもなかろう。今のところは彼らの出演基準を満足している、ということなのだろうが。
昨日こんな記事を観た。
ベンチャーが出発するときには、既存のシステムに挑戦するがために、法律的にはグレーだったり網の目だったりするところを通るのもある程度仕方ない。グーグルだってフェースブックだって、今でもプライバシー問題などで、年がら年中戦っている。(中略)
そして、そういう新興勢力をけしからんから潰そうという人たちがたくさんいるのは所与である。過去のリクルートやライブドアの件を見てもわかる。「だって、役所がー」と泣き言を言っても始まらない。過去から教訓を学ばなければいけない。
そして、一方では儲けなければいけない、という点もこれまた仕方ない。
何が正しいとか正義とかは相対的なものだ。線の引き方は人によりけりだし、なんとでも言える。ただ、この一連の事件を通して、ベンチャーが陥りがちな穴と、その危機管理対策というのも見える。
ぶっちゃけた言い方をすれば、そういった敵に負けないぐらいの「味方」勢力を作っておけばよい。やり方はいろいろあるが、王道は「お客さん」を味方につけることで、このお客さんがメインストリームに十分な数存在し、その人達が「このプロダクトがなくなったら困る」と心から支持してくれるようになれば、メディアもサポートするようになり、そう簡単には潰されなくなる。
via: 「コンプガチャ問題」に見る新興勢力の危機管理と矜持 - Tech Mom from Silicon Valley
この世のありように文句をつけることはできるが、現実に何かを起こそうとする人は、それと折り合いをつけていく術を身に着けていなければならない。
「出る杭は打たれる」
のは我が国特有の現象ではない。そもそも「革命」というのは定義からして常に「今ゴキゲンに過ごしている人たち」の大迷惑なのだ。後知恵で考えれば、そのご機嫌さは長く続くわけがなく、
「痛みを伴う革命」
をする必要がある、と言える。しかし渦中にある人々の多くはそんなことを考えない。どう考えてもなりたたないネズミ講のような民主党の公約をみて、多くの人が投票するのがこの世の姿というものである。
であれば
「革命」にも備えるべき作法がある、ということなのだろう。人の世の中は所詮感情で動いている。法律にのっとっているからと開き直っていても何かあれば、人々の感情は一気に吹き出す。
「役所やマスコミの圧力に対する危機管理」というと功利的に聞こえるが、みんなはバカじゃないので付け焼刃ではダメ。儲かったお金を震災対策に寄付するとかいう一時的な話ではなく、本業における自分たちの強みを活かして、どうやって社会に役立てていくか、ということを本気でやらないと、短期的には儲かるかもしれないが、長期的に生き残ることは難しい。
シリコンバレーはそういう文化があり、日本ではそんなキレイゴトをバカにする傾向がある。でも、日本でもホンダやソニーやソフトバンクは、それなりのキレイゴトを本気で心に持ってやってきている
via: 「コンプガチャ問題」に見る新興勢力の危機管理と矜持 - Tech Mom from Silicon Valley
GREE,DeNA,村上ファンド、それに堀江某はこの「キレイゴト」を軽んじていた。おそらくは彼らに
「知識と能力」
はあったが、
「知恵」
がなかったということになるのだろう。それゆえ
射幸心だのなんだのと難しい言葉がありますが、それだけ夢中になってしまうエネルギーは前向きに活用できないかなーとも思うわけで、思うにソーシャルゲーム各社におかれましてはそういう要素投入しまくった学習ゲームを作っていただけるとよいのではないでしょうか。
via: ソーシャルゲームが胸を張って「世の中の役に立っている」と言うために - カイ士伝
ということは彼らに期待できなかったということになる。何度も書いているが、その昔、DeNAが発足しBiddersやっているころは応援していたのだけどなあ。所詮コンサルタントだから数字が第一か。
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ちなみに世の中にこうした「教育カードゲーム」は既に存在しています。我が家にあるやつだと
毎号、藤原カムイ氏が描き下ろした9枚の「世界史人物カード」が付いてくるほか、2号では専用のバトルスタンドが付録として登場する。
via: ジョブズもそこに:朝日新聞出版、歴史上の偉人を漫画で紹介した「週刊マンガ世界の偉人」創刊 - 電子書籍情報が満載! eBook USER
ラムセス2世とかアメンホテップとかモーセが戦う姿は面白いんだけどね。いつのまにか子供の興味はポケモンに戻っていくのであった。
過去にこうした「子供の遊びに対する異様な興味を教育に!」と考えた人は多いのだと思う。そしてなぜそれが大々的な成功を収めないのか、について分析するのは面白いことかもしれん。