試論:軍隊式ITベンチャー
2012-06-04 06:43
先日こんな記事を見かけた。
自衛隊は多くの規則に「しばられた」組織だ。「自由」が少ないストレスフルな職業とお考えの方も多いと思う。確かに「個人の自由」は一般的な企業と比較すれば少ないだろう。任務における「自由裁量」の領域も狭い。上下関係もとても厳しい縦社会だ。
via: なぜ自由を与えると、部下のストレスはたまるのか (プレジデント) - Yahoo!ニュース
ところが、便宜上の表現として「軍隊式」という言葉を採用するが、こうした「軍隊式」の組織や生活は、現場での任務、つまり防衛出動といった戦闘を伴う任務の過酷さを横におくと、ふだんは意外につらくないのだ。
なぜだろうか。それは事細かな規則と厳格な縦社会は「戦場」という、これ以上ないほどの強いストレス環境を乗り越えるために編み出された「有効なストレス対処法」だからである。
軍隊式の生活、あるいは行動様式というのは我々男の子(もしくは元男の子)のどこか心の奥底に触れるものがあるようだ。最初に働いた会社であれこれ研修をやったが、一番印象に残っているのは自衛隊研修だったりする。
そこでやることは確かに普通の日常生活とはかけはなれた生活だ。もっといえば最近の「モチベーション3.0」とかそういう話の丁度対極にある。
モチベーション3.0は人間の「学びたい」「創造したい」「もっと世界をよくしたい」という心理に基づく、内なる欲求に基づくものです。これを企業でうまく利用し成果をあげているものでは、Google社の20%ルールが有名ですね。
モチベーション3.0に大きな影響を与える3つの要素があります。
- 自律性
- マスタリー(熟達)
- 目的
の3つです。
via: クラウドリーディング:vol.30『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか 』 : ライフハッカー[日本版]
目的はまあ明確として、自律性は軍隊で求められるときもあるし、求められない時もある。
しかしだね。
昨今ビジネスのスピードが早くなっている、と誰もが言う。それは瞬時の判断が、経営に大きく影響する、ということでもある。
であれば、軍隊式の思考、統制方法をある面では取り入れることを考えてもいいのではなかろうか。Amazonがかかげている
"Have Backbone; Disagree and Commit"(信念を持ち、意義を唱えるが、決定がなされたら全面的にコミットして取り組む)
via: 顧客がまだ感じていないニーズを創造する「インベンターに」──成長を続けるアマゾン ジャパンのジャスパー・チャン社長 (2/2) - ITmedia エグゼクティブ
の意味はもう少し深く考えられてもいいと思うのだけどな。ここに書いてあることは
だから、リスク回避のひとつの工夫として、軍隊は階級を尊重する。究極の縦社会である自衛隊では、上官の命令、決定は絶対だ。もちろん、異論を唱えられる場がないわけではなく、時間に余裕があれば、さまざまな意見を交わし合う。
via: なぜ自由を与えると、部下のストレスはたまるのか (プレジデント) - Yahoo!ニュース
しかし、意見が分かれたまま、戦場に出るわけにはいかないし、そもそも緊急事態に悠々と民主主義の手続きをとっているヒマなどほとんどない。
とどこか相通じるところがあると思うのだけど。