スタートアップの処方箋
2012-06-19 06:57
複雑かつ答えが存在しないような状況で「断定」する人がいると、カルト的な支持を集めると聞いたことがある。映画「ミスト」ではスーパーマーケットに閉じ込められた人々が、神がかりなおばさんを崇拝するようになる過程が恐怖とともに描かれていた。
というわけでスタートアップである。私はのんきな傍観者として「日本のベンチャーは残念だ」と感じることが多い。じゃあお前自分でやってみろ、といわるとビビるのだが、頭の中で「なぜ残念か、ではどうすればいいのか」と考えることはある。
そしてそうした「処方箋」を説く文章も世の中にはたくさんある。昨日見つけたのは少し面白かった。
もっとも、リーン・スタートアップへの反論もいくつかあるようだ。しかし、どう取り組めばよいかは、それぞれのスタートアップ固有のことで、創意工夫が不可欠だ。それに万能の魔法の杖などありはしない。リーン・スタートアップもORを実践する上でのプロダクト開発のための方法論のひとつである。皆が、あるいは○○さんが言っているからではなく、自ら正しいことを見つけ、それを実行することだ。
via: なぜスゴそうな人も大ゴケするのか? テーマで間違うスタートアップ |インキュベーションの虚と実|ダイヤモンド・オンライン
引用したのは、8P文書の7ページ目だ。それまでさんざんあれこれ書いてはいるが結局のところ
「それぞれに工夫すること」
という何も言っていないのと同等の結論になっているところが正直で素敵である。
いろいろ理屈はあり、かつ成功した人は得意になって「私が成功した理由」を説くのかもしれないが、そこから一般的な結論を導き出すことは難しいということなのだろう。
とはいえ
成功への処方箋がかけないといって、「ほとんどの場合無駄なこと」がないわけではない。私が知っている限り
「日本におけるベンチャーコンテストでの評価」
というのは全くあてにならない。もちろんスタートアップ側にとっては知名度をあげるチャンスであり、かつうまくいけばいくばくかの資金も得られる。しかしそれはそれ、これはこれである。
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同じくリーダーシップというやつにも定形がない。部下の言うことに耳を傾けろ、とか書くことは簡単だが現実はそれほど簡単ではない。
新たにHewlett-Packard(HP)の最高経営責任者(CEO)に就任したMeg Whitman氏はSteve Jobs氏と同様に、一般的なリーダーの目から見ると眉をひそめたり、反面教師にしてしまうようなある種のマネジメント上の性格を備えていることで知られている。以下は、2人に共通しているとされる5つの性格である。
- 偏執的、あるいは強迫観念に取り憑かれているかのような性格--調査によって自らの誤りが明らかになったとしても、「論理的」に振る舞わない。
- 極めて移り気な性格--そして時には、感情に流されることもあり、その度に人事部門が振り回されることになる。
- すぐに悪態をつく性格--ビジネスシーンに悪態はそぐわないということは「どんな人でも」知っているはずだ。マネージャーとしてバランスの取れた人物であれば、悪態なんかつくはずないだろう?
- 厳しい注文を付ける性格--厳しすぎる注文を付けることもしばしばある。部下の働きに対して「途方もない」期待を抱くためである。
- えこひいきしがちな性格--プロジェクトや、ひと、サプライヤーに対してえこひいきする。こういったことは大抵の場合、法的な問題へと繋がりかねないため、避けるようにすべきなのだ。
via: 有能なリーダーに共通する性格とは--ホイットマン氏とジョブズ氏に学ぶ - ZDNet Japan
そして不思議なことだが、この二人はリーダーとして成功した。共通しているものがあるとすれば、自分の「ビジョン」への熱意だろうか。しかしそれなら麻原彰晃だって、ヒトラーだって自分の「ビジョン」への熱意を持っていたのである。そして結果はともあれ、人を率いるという点では成功したといえるのかもしれない。
というわけで、結局「自分が信じられるビジョンに従いなさい」ということになるのかもしれない。そして(これは漫画蒼天航路からの引用だが)
「食べたことのないすごいごちそうを描く」
力で、人がついてくるか、そしてその人達がどこへ向かうかが決まるとかそんなことなのだろうか。