どうやってもうけるのか?
2012-06-27 07:25
コンピュータ関連のビジネスというものは生き物であり、常にその姿を変えていくようだ。遠い昔は巨大で高価なハードウェアを売ることで、ものすごい利益をあげることができた。年寄りの昔話をすることを許して欲しいのだが、Sun(今はOracleに買収された)のワークステーション(CPUは68020だったが)は、
「最初に設置した場所から移動させるだけで、保証が無効になります」
という代物だった。そして目の玉が飛び出るような値札がついていた。
それからしばらくたち、なんでも(ごく特定の用途を除いては)PCでできる、ということになった。そこらへんから「ハードウェアはもうからない。ハードウェアビジネスを売却して、ソフトウェア、それにコンサルティングに特化しよう」という動きが出始めた。この理論は実際正しいように思われた。
しかし
PC市場が飽和し、主戦場が携帯機器に移ったところで、また図式が変わろうとしている。
So Microsoft faces a dilemma. Their business model of expensive software on cheap hardware is not sustainable. The future is nearly free software integrated into moderately priced hardware.
via: Who will be Microsoft's Tim Cook? | asymco
--Microsfotはジレンマに直面している。安価なハードに高価なソフトを載せるモデルは長くは続かない。ほとんど無料のソフトと適切な値段のハードを統合して売ることが、次のモデルだ--
つい最近まで、Microsoftは、「安いハードの上で動く高いソフトウェアを売る」ことで利益をあげてきた。不幸にして、携帯情報端末ではその図式が崩れようとしている。今や携帯情報端末で利益を上げているのは、Appleだけ(一部サムソン)なのだ。
この引用記事によれば、Appleがやっていることは「適切な価格のハードウェアの上で、ほぼ無料のソフト+サービスを動かし、一体として販売する」ことである。そして(一部の人を除いて)誰もが想像し得なかったことだが、みんなが「もうからないから辞める」といったハードウェアビジネス込で、十分な価格競争力を持ち、利益を上げているのだ。
こうした「事実」を踏まえた上で、MicrosoftはSurfaceを発表した。それがおそらくはUltrabookと競合することを十分認識した上でそうした掛けにでたのだ。
A Microsoft executive said the company has no plans to manufacture its own company-branded smartphones, denying reports to the contrary that emerged after Redmond last week roiled the PC hardware industry by unveiling its own tablet computer.
via: Microsoft: We Won't Build Own Windows Phones - Windows - Microsoft news - Informationweek
といわれるように、MicrosoftはWindows Phoneは作らないよ、と言ったらしい。しかしこの言葉を額面どおり受け取る人間はいないだろう。既にMicrosoftはNokiaを実質的に傘下に収めている。GoogleはMotrolaを持つことになった。「三国志」の国は全て自分たちの垂直統合モデルをもって戦おうとしている。
こういう図式の変化を眺めていると、したり顔で
「オープンでないからだめだよ」
とか
「ハードウェアはもうからないよ」
とか言うことの馬鹿らしさというものが明白になる。二流の誰かが「常識」とか「理論」を打ち立てた頃、本当の一流プレーヤーは自分たちで新たなモデルを創造し、実現していく。今の枠組みで勝てないのであれば、新たな枠組みを作り、今の枠組みでHappyな人たちの顔をしかめさせながら進んでいくのだ。
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イノベーションのジレンマ、という名著がある。
なぜ名著かといえば、従来常識とされてきた「顧客の声に耳を傾け、それに沿って製品を磨き上げる」ことで、企業が没落するという事実を理論建てて説明したからだ。そしてこの本に書いてある理論が適用できる例を現実世界でたくさん見つけることができる。(ゲーム専用機v.s.スマートフォンとかね)
でもってその著者は2007年にこういったのだそうな。
But the prediction of the theory would be that Apple won't succeed with the iPhone.
via: Clayton Christensen's Innovation Brain
--理論を元に予測すれば、AppleはiPhoneで成功しないだろう。--
なぜこの予想は外れたのか。こちらには興味深い議論が掲載されているが、言えることはただひとつ。理論というのは常に変化し続ける世界の後追いしかできない、ということだ。
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でもって日本メーカーはどうするんだろうね。世界に冠たる「マイナスイオン発生装置」で付加価値を高めますか?