三国志への遠い道のり

2012-07-20 07:13

NokiaがプラットフォームとしてWindows Phoneを選択した、と聞いた時

「これは三国志の幕開けだ」

と思った人は多かろう。しかし今のところ、蜀はまだ「三国」の一つに数えられるほど力をもっていないようだ。

[15日 ロイター] フィンランドの通信機器大手ノキア<NOK1V.HE><NOK.N>は、スマートフォン(多機能携帯電話)の主力機種「ルミナ900」を米国で半額に値下げした。

発売開始から3カ月も経っていないが、米アップル<AAPL.O>や韓国サムスン電子<005930.KS>との競争が激化しており、市場シェアの低下に歯止めをかけるため値下げに踏み切った。

via: ノキア、スマートフォン主力機種を米国で半額に値下げ (ロイター) - Yahoo!ニュース

2年契約付き、という条件だがいきなり半額である。もちろん3DSのように、思い切った値下げがプラットフォームを救うこともある。しかし今は「そうせざるを得ない」といった要素が強いように思われる。

source: Seeking Alpha, WSJ, Nielsen


Nokia Windows Phone US market share still behind Samsung, HTC in Q2 2012

via: Nokia Windows Phone US market share still behind Samsung, HTC in Q2 2012

注意して欲しいのだが、このグラフの横の幅は、実際のシェアを反映していない。だから「悪いグラフの書き方」の見本のようなグラフなのだが、数字を見て欲しい。2012 Q2北米のスマーフォトンマーケットにおけるWindows Phoneのシェアは1.3%だ。

Nokiaが「世界の超優良企業」からどのように、今日の苦境に至ったのかこちらの記事にまとめられている。おもしろかったところを引用する。

Nokia engineers' "tear-down" reports, according to people who saw them, emphasized that the iPhone was expensive to manufacture and only worked on second-generation networks--primitive compared with Nokia's 3G technology. One report noted that the iPhone didn't come close to passing Nokia's rigorous "drop test," in which a phone is dropped five feet onto concrete from a variety of angles.

via: Nokia's Bad Call on Smartphones - WSJ.com
Nokiaのエンジニアが、iPhoneを分解したレポートが存在した。それを観た人によるとiPhoneは効果であり、2Gのネットワークにしか対応してない-その当時Nokiaは3Gに対応していた。別のレポートではiPhoneはNokiaが実施する「落下試験」にパスしなかったと書かれていた。この「落下試験」ではいろんな角度で、携帯電話をコンクリートの上に落下させる。

世界中で、こうした「iPhoneは脅威ではない」というレポートが作成されたのだろう。もう一つ個人ブログだが、「大手家電メーカーの中の人」だった人の意見も挙げておく。

音楽プレイヤーの部分についてはiPhoneに敵う端末はないと思うが、インターネットマシンとしてみたときに日本のケータイの便利さはまだまだ群を抜いている。これは端末だけがすごいんじゃなく、日本のケータイインフラにコンテンツ側もきちんと対応してきた結果生まれた状況だ。

via: iPhone 3Gはインターネットマシンとして見ても微妙? ガラパゴス・ケータイはやっぱりすごかった - キャズムを超えろ!

概して「頭のいい人」が発売当初のiPhoneに対してこうした感想を抱いていたようだ。私は頭の悪い人なので、その登場をみて呆然自失となった。もっとちゃんとした言葉で表現すればこのようになる。

というわけで、新しい時代が始まったのでした。iPhone発売を称して、私は「イエスキリストが生まれる」というエントリーを書いたが、その直後にBoingBoingはJesusphone: He is Risenというエントリーを掲載。「神的携帯:イエスが復活」みたいなタイトルだが、やっぱり側頭葉に電波を送られたんだな。

昨日のApple Storeのline-waiterたちは、殆どが側頭葉に電波が送られた状態だったのだが、そこにいる人たち、それを見に来る人たち、みんな純粋に楽しそうなのが、すごく良かった。なんかこう、磁場が発生している感じ。Apple Storeに近寄るだけで幸せになる、みたいな。

via: On Off and Beyond: iPhone元年が始まって

「日本のガラケーはスッゲー便利」と言っていた頭の良い人と、「側頭葉に電波を感じた」人のどちらが正しかったかは今では明白になっている。そして思うに衰退する大企業というのは「頭の良い人」をたくさん雇おうとするのではないかな。

昨日私は子供が借りてきた本にそうした「頭の良い人が日本企業を衰退させる」理由についてのヒントを発見した。それは日本が誇る

「KATA」

にあったのだ、、と本来こちらを書く予定だったのだが、その本からの引用がどこかに消えしまったのでまた後日。(本当に続くのか?)