Microsoftとハードウェアベンダーの関係
2012-08-17 07:06
私は単純な人間なので「これでPCメーカーはおしまいだな」と思っていたが、少なくとも当面の間はそうではないようだ。
"I believe Microsoft was basically making a leadership statement and showing what's possible in the tablet space," Solomon told CRN. "Our relationship has not changed at all due to Microsoft's announcement. In fact, I applaud it -- I think it's great that they are getting out in front and [demonstrating] what's possible."
via: HP Applauds Microsoft's Surface Tablet - John Paczkowski - News - AllThingsD
HPのエライ人が「MicrosoftのSurfaceはそれで何ができるかをMicrosoftが率先して示したもので、歓迎すべきものだ、とかなんとか言ったのだそうな。
ユーザインタフェース開発失敗のパターンに「こんなすごいデバイス作っちゃいました!誰か使い方を考えてください!」というものがある。これがとても得意なのがSonyだ。
2画面を利用したユーザーエクスペリエンスについては、我々が気がつかないようなものをサードパーティーが開発してくれるはずだと期待します。
via: 【大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」】 Sony Tabletは『ソニーらしさ』を最も表現する製品 ~業務執行役員SVPの鈴木国正氏に、ソニーのタブレット戦略を聞く
という具合にハードだけ作って「誰かお願いします!」といったところで無視されるだけである。その文脈においてはHPの偉い人の言葉にも理があるように思える。
しかし問題は
仮に199ドルで販売されることになれば、同じく戦略価格の Google Nexus 7 タブレット (7インチ、Tegra 3) と、また新型発表も近いとみられるアマゾン Kindle Fire と並ぶことになります。
via: マイクロソフト Surface タブレット、Windows RT 版は199ドル・10月26日発売? - Engadget Japanese
この価格だ。$199ならばタブレットとして非常に安価な部類になる。Google Nexus7, Amazon のものと直接ぶつかる。仮に「テクノロジーのデモ機」的な役割であるとすれば、もっと価格を高く設定すべきだ。そうでなければハードウェアベンダーの立つ瀬がない。
そもそも
Microsoftとハードウェアベンダーの戦いは公平なものではない。OSを握っているのがMicrosoftというだけでなく、Microsoftはハードウェアベンダーの試作品を手に入れ、その詳細を知る立場にあるのだ。
This is a snapshot of an actual pre-release Windows RT PC, showing a very early engineering prototype and the evolution to its current form.
Windows helped achieve these goals by focusing on optimizing key scenarios.
via: Collaborating to deliver Windows RT PCs - Building Windows 8 - Site Home - MSDN Blogs
引用した記事は「Microsoftはこんなにハードウェアベンダーと密接に協力していますよ!」と高らかに歌い上げているものだが、そのMicrosofotがハードウェアを作り、他のハードウエアベンダーと直接競合するというのであれば、話は別である。どの会社がどんな製品を作っているか、左手にある極めて初期段階のものから、すべてMicrosoftには筒抜けなのだ。
HPの人の言葉が「撤退前の捨て台詞」なのか、本当なのかはもう少し時間がたってみないとわからない。そもそもSurfaceがちゃんとした製品なのかどうかも現時点ではわかっていないのだ。
しかしMicrosoftが非常に執念深い会社であることを考えるとき、仮に最初のSurfarceが大失敗に終わっても、Windows9とともにSurface2を出してくるに違いない。その時情勢はどうなっているかは興味深いところである。