なぜ戦艦大和は沖縄に出撃したのか

2012-08-03 06:50

誰がどうみても、沖縄にたどり着く見込みはなかった。哨戒長はこう言う。

「進歩のない者は決して勝たない 負けて目ざめることが最上の道だ
 日本は進歩ということを軽んじ過ぎた 私的な潔癖や徳義にこだわって、本当の進歩を忘れていた 敗れて目覚める、それ以外にどうして日本が救われるか 今目覚めずしていつ救われるか 俺たちはその先導になるのだ 日本の新生にさきがけて散る まさに本望じゃないか」

via: 戦艦大和ノ最期

というわけでいきなり話はオリンピックになる。なでしこジャパンが引き分け狙いを指示したことに対して、こんな意見があるのだそうな。

佐々木監督は敗退を指示したわけではない。しかし「勝たなくていい」という指示は、
五輪精神、スポーツマンシップに反している可能性が強い。一つには、どの順位で
進出するかで極端に条件が違うような試合設計をした主催者側にも問題はある。
勝たない方が有利になるような状況を作ってはいけないとは思う。

しかし、選手や指導者が、競技ではなく星勘定を優先するのは、ありていに言えば「八百長」である。


via: 痛いニュース(ノ∀`) : 【論説】 なでしこジャパンは「八百長」まがいをした...ライター・広尾晃氏 - ライブドアブログ

戦艦大和を出撃させたのは、こういうメンタリティの持ち主だったのだろう。ただひたすら全力を尽くせ!結果を考えちゃだめだ!五輪精神だ!スポーツマンシップだ!

こうした考え方では、まずい作戦で「玉砕」することは恥ではなく、むしろ称揚される行為である。「帝国陸軍の最後」を読んでいると、旧帝国陸軍は本当に戦争に「勝つ」ことに向いていない組織だったなあと思う。そもそも勝利を目的とするより、(彼らの考える)「帝国陸軍」たることを優先していたように思えるのだ。

私をふくめ、多くの人は物事をすぐ忘れてしまう。この前のワールドカップでドイツにかつまで、「なでしこジャパン」などというものは「ああ、女子もサッカーあったの」くらいの扱いだったのだ。

幸いな事にこうした意見は今のところMajorityではないようだ。戦艦大和が沈んで目覚めた結果の一つと思うことにしよう。

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さて、元柔道少年としては一番興味をもって見ているのは柔道である。今のところ成績はいまいちのようだ。私はその選手を「顔」で判断している。ダメ。みんな顔がダメ。

一人だけ「これはすごいのがでてきた」と思わせてくれた人がいた。

柔道、松本薫選手のこの気迫の表情! pic.twitter.com/WHvrv9wH





via: 松本薫、日本人金メダル第一号!攻めて、睨んで、吠えて、奪った勝利の巻。 : スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム

いや、すばらしい。彼女の試合をみて爆笑させてもらった。こんなすごい試合を観たのは、シドニーで井上某が金メダルととったとき以来だ。

彼女の姿を見られただけで、私のオリンピックはお腹いっぱい。ああ、面白かった。