伝統を守ろう
2012-09-19 08:00
といわけで、米国でスマートフォン、タブレットの新製品発表が続いている。いくつか様子を引用しよう。
Amazon Kindle
Motorola Droid
Nokia Lumia
これらに共通しているのは、製品発表のスタイルがみんなApple的になっているということだ。スクリーンを背後に発表者が立ち、製品をアピールする。スクリーンに映しだされているのは大きな写真とキーワードのみ。
アメリカでの製品発表が以前からこうだったわけではない。よく引き合いに出されることだが、Bill GatesがMicrosoftのCEOだったころはこんな発表をしていた。
Bill Gates explains the big picture (but can he explain that picture behind him?).
via: Presentation Zen: Bill Gates and visual complexity
つまりここから随分と変化したわけだ。
さて、時期を同じくした我が国の「新製品発表」をみてみよう。
ブラザーPrivio
富士通スマホ夏モデル
いや、なんというかさ。
- 誰も読まない「論理的な文字と図が満載のチャート」
- 社名をあしらった背景の前に芸能人を立たせ製品を持たせる
- 芸能人に誰かが書いたセリフをしゃべらせる
この「様式美」が完成したのがいつかはよくわからない。誰か調べて論文にでもしてもらえないだろうか。
こうしたイベントには恐ろしいほどの金がかかっていると思う。そうした金の使い方について日本の企業が無神経なことには驚きと諦めの感を禁じ得ない。
経営者が自ら
「これこそ我々が欲しがっていた新製品だ」
と心から語る姿はいつ見られるのだろう。それに比べこうしたセリフのなんと「サラリーマン的」なことか。
質疑応答で同日発売されたGALAXY S IIIとの争いについて質問された同社執行役員常務の大谷信雄氏は、「(同社の端末は)日本メーカーが日本人のために開発していくというのが大きな部分。去年は遅れを取ったが、ヒューマンセントリックエンジンを搭載して、非常に使い勝手がいい。フィーチャーフォンで培ったモノを本格的にスマートフォンに搭載していく。(日本メーカーの方が)使い勝手のいい端末をリリースすることで対抗できる」と自信を見せた。
via: ASCII.jp:色々あった冬モデルとは違う? 富士通が夏スマホ発表会
-------------
どうも今年はWISSに通りそうもないので、こうした「誰も読まない"スライド"」が横行し続けることに関しては、そのうちブログでころころ書くかもしれない。