IveがUIを統括するという意味
2012-10-31 06:56
ちびっこSteve JobsことForstallが首になったことに関して、いろいろな噂が流れている。彼はあまり周囲から好かれる人物ではなかったようだが、それはそれ。
彼は自分の会社を立ち上げるべきではなかろうかと思う。Steve Jobsがそうしたように。周りと上手くやることはできないが有能な人物というのは確かに存在し、そうした人にとって「勤め人」であることはあまりいい選択肢ではない。
と、彼の就職先を考えるより私は今後のAppleに期待したいと思うのだ。ここ数年、Appleの製品を使っていて「?」と思うようなデザインに出くわすことがあった。今回の騒動で、それがForstallの影響であったことを知った。
ドラッグしてページを捲れることを学んだユーザーは
via: Appleが推奨するSkeuomorphic Designとそのメリットデメリット │ Design Spice
アドレスブックで同じ動作を行う可能性があります。
想像通りに機能しないことはストレスであり混乱も招きます。
「Skeuomorphismデザイン」というのだそうな。まず第一に私はこうしたデザインが好きではない。そもそもコンピュータのディスプレイに表示された物体と、現実の物体は明らかに異なるものだ。それの外見だけを似せるというのは非常に「小賢しい」態度に思える。
こうした「擬人化エージェント」のように。
via: フジテレビが新人女子アナとして作ったCGキャラがしょぼいwwww腕おかしいwww名前は杏梨(あんり)ルネ | wan2o.com
フジテレビは1日、コンピューターグラフィックス(CG)キャラの杏梨(あんり)ルネさんを「デジタルアナウンサー」として採用したと発表。
第二に、例えばiMacやiPhoneに見られるミニマルでシンプル、美しさを極めたようなデザインと、いくつかのApple製ソフトウエアに見られる「現実を模した」ごてごてした装飾的なデザインがどう見ても相容れないように見えたことだ。つまり一貫性に欠けていたのである。なぜあんな美しいハードを作る会社が、こんなごてごてした(一部の)ソフトを作るのか?
それが不思議だったのだが、どうやらそれはApple社内の権力構想を表していたようだ。Iveはこう述べている。
ハードウェアにおけるシンプルさは、ソフトウェアと常にマッチしてきたわけではない。iPadやiPhone、iPod touchのOSであるiOSの登場後、そうした状態は「スキュアモーフィズム」(skeuomorphism)という言葉で表現されているが、これはつまり、古いデザインにおける装飾的特徴を、新しいデザインにもそのまま持ち込む傾向のことだ。
わたしがこの問題に言及すると、アイヴは一瞬表情を曇らせた。しかしその仕草は、彼がそうした言い回しが嫌いであることを示すというよりも、同情を示すものであった。少なくとも私にはそう見えた。彼はその問題について議論する代わりに、外交辞令的な返答を行う。「私は製品のアイデアについて他のチームと共に考え、共に仕事をすることだけに集中している。そのうえでハードウェアを開発する。それがわれわれの責任なんだ。あなたが言っている要素については、私自身はあまり関係していないと思う」
via: The Telegraphによるジョナサン・アイヴへのインタビュー (2) | 田園Mac
こうした「ごてごてした」要素はForstall、それにSteve Jobsが持ち込んだものだったらしい。
Inside Apple, tension has brewed for years over the issue. Apple iOS SVP Scott Forstall is said to push for skeuomorphic design, while industrial designer Jony Ive and other Apple higher-ups are said to oppose the direction. "You could tell who did the product based on how much glitz was in the UI," says one source intimately familiar with Apple's design process.
But before Forstall, it was Steve Jobs who encouraged the skeuomorphic approach, some say.
via: Daring Fireball: Forstall Out; Ive Up
Steve Jobsがなくなり、Forstallが首になった今、Iveが全てのUIを統括することになった。その結果はおそらくゆっくり現れてくるだろう。少なくとも現在のように
「シンプルさとロココ風の過剰な装飾」
が同居した状態はだんだん解消されていくことを期待したい。
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どんな人間でも、打率10割は達成できない。デザインに関しては、Forstall氏は間違っていたと思うが、OS XをiPhoneのOSとして使用し、しかもそれを成功させたことについては偉大な業績と言って差し支えないと思う。最初にiPhoneの発表があった時、一番驚いたのは、それがOS Xで動いていることだった。そしてiOSでプログラミングをしているとそのことを日々実感する。他の「組み込みOS」とはケタ違いだ。
それだけでもForstall氏の名前は歴史に残る価値がある、、と外からは思える。もちろんこの「決断と実行」には他の多くの人が関わったのだろうけど。
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話はもとに戻る。ミニマルでシンプルなデザインを好む私としては、Windows のMetroには常に敬意を払っている。あのシンプルさ、割り切りはすばらしい。(実際に使っていないからそう思うのかもしれないけど)
これは私の「メタファー原理主義」への反感ともつながっている。Metroのタイルは何のメタファーにもなっていない。それでちゃんと機能している。この事実について考えれば「デスクトップ」なんてのがメタファーとして機能していないことに誰もが気がつくはずだ。
そもそもiOSはユーザにファイル構造を意識させないような方向に進化し続けている。つまりデスクトップメタファーなんてのは過去の遺物なのだ。
と考えているところに「デジタルネイティブ(笑)」の若者が「デスクトップアイコン」を使ったプログラムなんか得意げに発表しているのを見ると、なんだかなあと思う。
Old MacintoshやDOSの時代によく見られたような、何となく懐かしい感じがするデスクトップのジョークソフトを、今の時代の大学生が作っているのが衝撃的。
via: UXClip(7):プログラムを「どや!」と発表し合う、明治大学アブノーマルプログラミング (1/3) - @IT
この記事を書いた人は「衝撃的」と書いている.私の意見は"Pathetic"である。