KATAの発生と衰退
2012-10-02 06:51
さて、何度か「日本人はKATAが大好き」ということを書いている。前に引用したかもしれないが、オンラインゲームでも日本人はすぐに「KATA」を創りだすのだそうな。
ネットゲームをやってて本当に国民性が現れるな、と思うのは、日本人は「暗黙のルール」をすぐに完成して、それを共有してない人を「晒しスレ」で影からたたくのが頻繁にあること。
via: ネットゲームでも日本人独特の暗黙のルールが作られる - Togetter
おもしろいのはこのKATAは結構あっさり捨てられたりすることだ。私の姉の結婚式では「仲人」をたてるのは当たり前だった。ところが昨今はほとんどそんなことをしないのだそうな。
先日プロ野球の巨人が優勝した。誰か知ってる?日本テレビはその試合を「試合終了まで」放映したとのこと。(昔はそういうことがよくあったなあ)でもってその視聴率だが
日テレが巨人の優勝決定戦となる9/21の試合を急遽放送、こちらは11.2%でした。
via: 9月の巨人戦視聴率|プロ野球の視聴率を語るblog
この数字を、10年前の数字と比べてみよう。
巨人の優勝決定戦がナイターで地上波中継されたのは2002年以来で、その時の視聴率は29.1%でした。
via: 9月の巨人戦視聴率|プロ野球の視聴率を語るblog
10年前は、なんと3割の人が巨人優勝の瞬間を見ていたのだ。これは今から考えると驚く他無い。引用したサイトを見てもらえばわかるが、当時は優勝が決まった後の消化試合でさえ12%を超える視聴率を持っていたのだ。
ちなみにさらに8年前、1994年の中日×巨人の優勝決定戦の視聴率は48.8%である。これってあれかな。名古屋駅に街頭TVが出現し、俺が合コンやっていた時のことかな。
つまり
日本人にとって「プロ野球」というKATAはこの15年余りで急速に衰退したことになる。今や幼稚園卒園式で「将来なりたいもの」について語らせれば、3:1でサッカー選手が優勢だ。子供のころは
「なんで名古屋では巨人の帽子売ってないの?」
と泣いた私でさえ、最近の選手はだれも知らん。顔と名前が一致するのは巨人の阿部、高橋、それに楽天の田中くらいだ。ダルビッシュはアメリカいっちゃったし。
「それは危機のように見えるかもしれないが、幻想の終わりにすぎない」というのはGMワインバーグの名言である。そしてプロ野球の終焉という「危機」に瀕した人は、幻想を維持しようと楽しいコメントを発してくれる。
21日に日テレ系で午後7時から生中継された巨人・ヤクルト戦(東京D)の平均視聴率は、ビデオリサーチ調べで11・2%だった。
21日の試合は、時間帯によって地上波かBS日テレ、どちらかで放送する「トップ&リレー中継」を行わず、両チャンネルで終始重複して放送されたため「(11・2%は)実際には15%以上の価値がある。より多くの人に見ていただけたのでは」と日テレ関係者は話している。
via: 9月の巨人戦視聴率|プロ野球の視聴率を語るblog
いろいろあったが、WBCというオープン戦もどきに今回も参加するそうだ。利権を持っている人は全力で「盛り上げよう」とするだろう。その中でまたこのような「傑作」が生まれることを期待したい。
ちなみに最近は「葬式」とか「戒名」というKATAも失われつつあるそうだ。誠に結構。
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さて、親愛なる米国だが、この国は進歩するところと妙にKATAにこだわるところがあるのが興味深い。未だにインチだマイルだポンドだなどと言っているのは世界中でこの国だけではなかろうか。いや、これはKATAではなく、別のメンタリティなのかもしれんが、それについて語れるほど私は彼の国の文化にくわしくないのであった。