Microsoft Surfaceに関する評価
2012-10-29 06:49
ちなみにここで書いているSurfaceはIntel版のそれではなく、ARM版
です。というかこういう普通の人には何のことかわからない説明をしなければならない時点で、問題だと思うのだが。
Surfaceについていろいろなレビューを読んだ。ハードウェアの作りがしっかりしており高級感があることについては意見が一致しているようだ。
Surfaceは、マイクロソフトがアップル以上にアップル的なことを実現しようとした製品です。すみずみまでこだわってデザインされたことが随所に現れています。ディテールへのこだわりが山ほどあり、たとえばキックスタンドには、それらしいクリック音を出すためにカスタムデザインされたヒンジが付いていたりします。
via: Surface RTレビュー:この大いなる落胆 : ギズモード・ジャパン
ここまで読んで、家電メーカーのハード担当者は恥じ入るように。
問題はソフトウェアだ。これに関しては
仕事は、まあできます。でも生産性はMicrosoft Officeの「プレビュー」(β)版に制限されます。また、OfficeはWindows RTのデスクトップモードで使うのですが、Windows 8であればこのモードで古いソフトウェアをインストールできて、そこがポイントなのに、Windows RTではそれができません。デスクトップモードは、Windows RTではほぼ役に立たないのにそこにあって、むしろRTの限界を意識させることになっています。
via: Surface RTレビュー:この大いなる落胆 : ギズモード・ジャパン
という意見と
Windows RT tablets have similar form factors to the iPad and leading Android tablets, and offer near-equal battery life, performance, and user experience, but they also give you the added benefit of strong productivity applications and the power of Windows Desktop.
via: AnandTech - The Windows RT Review
WindowsRTタブレットは、iPadやAndroidタブレットと同じような性能、機能を持っている上に、従来のデスクトップ上でのソフトを使って、あれこれ仕事をすることができる。
という意見があるようだ。
つまるところWindows RTでは何ができるのか?
まずMetroインタフェース(宣伝で使われている、画面にあれこれ四角いのが表示されている画面)が使える。あの画面に新しいソフトをインストールすることができる。
ここで一つわからないのが、Metroアプリは、普通のPC上のWIndows8でも使えるのかそうでないかがはっきりしない点だ。共通して使えるアプリがあることはわかるのだが、ネイティブコードでごりごり書いたアプリが共通して使えるわけはないよね。
この場合、MicrosoftのAppstore(正式名称は知らん)からだけインストールが可能である。
また、従来のPCと同じ様な画面も使える。ここでは、Microsoft officeが無料でインストールされている。
ところが、ここでは元々のPCで使っていたソフトは動かない。この従来のPCと同じ様な画面にソフトを新しくインストールすることはできない?(ここがよくわからない)
↑が正しいとすると、Windows RTの従来のPCと同じ画面では、マイクロソフトが最初から載せたアプリが動くだけ、ということになる。なんだそれは。
Windows RTの公式FAQにはこう書いてある。
WindowsRTはこんなにすごいんだよ、という宣伝が並んだ後に
Windows RT には含まれていない機能もあります。
Windows Media Player
Windows Media Center
ホームグループの作成 (既存のホームグループに参加することはできますが、新しいホームグループを作成することはできません)
リモート デスクトップ
ドメイン参加
Windows ストアから直接アプリをインストールできますが、Windows RT のデスクトップにアプリをインストールすることはできません。
via: Windows RT: よく寄せられる質問 - Microsoft Windows ヘルプ
従来のソフトは動きませんよ、ということをここから読み取るのはなかなかの読解力を必要とするだろう。
となると、「そもそもOfficeなんかなくして、Metroだけにすればいいじゃないか」と誰もが思う。しかしそこはMicrosoftの「妥協しない姿勢」なんだそうな。
マイクロソフトの Windows プレジデント Steven Sinofsky 氏による長文でくり返し強調されるのは、 " no-compromise " (妥協のない) という表現。従来の x86/64 アプリとバイナリ互換のないARM版 Windowsにあえてデスクトップ環境を用意していることは、この no-compromise の例として説明されています。いわく、過去を断ちきりシンプルに、純粋にするためデスクトップを撤廃してはどうかとの声もあったものの、「便利でユーザーにとって負担が少ないものを諦めることは妥協であり、PCの進化にあるべきではない」。
via: マイクロソフト、ARM版 Windows 8 の詳細を公表。デスクトップ環境とOffice 15を搭載 - Engadget Japanese
ここらへんになると濃度の高いシノフスキー粒子にやられてわけがわからなくなる。
Intel版Surfaceは一定の成功をおさめるかもしれないが、Windows RTは多分このままひっそりと消えて行くのではないかと思う。
Microsoft Surfaceが欲しい10の理由、というコラムがあるのだが、そこで述べられている理由が当てはまるのは、ほとんどInterl版Surfaceのことだ。そして10番目の理由は
10.これは始まりにすぎない
MicrosoftはこのSurfaceの最初のバージョンで大きな波紋を投げかけた。Surfaceはその薄くて軽いタブレットの中に、われわれが夢見ていた機能を詰め込んでいる。しかし(同社が最近掲載した求人情報に基づく)うわさによれば、MicrosoftはSurfaceチームを拡大しており、すでに次のバージョンに取り組んでいるようだ。
via: マイクロソフトのタブレット「Surface」が欲しい10の理由 - (page 3) - CNET Japan
Microsoftがしつこく製品を改良していくことは、実績がしめしており、おそらくはSurfaceもそうなるだろう。そしてその改良には「Windows RTの破棄」も含まれることを私は確信している。そう考えると
樋口 米国で発表されたSurfaceは、Windows RTベースのものです。Windows RTの観点からいえば、デバイスメーカーも、日本での状況が米国とは異なるという判断があったのではないでしょうか。
via: 【大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」】 日本マイクロソフト、樋口社長に緊急インタビュー ~Windows 8発売に強い手応え。Surfaceはこのタイミングでは出さない
日本でSurface(ARM版のほうね)を発売しないという決断がどのようになされたのかわからないが(この文章を読む限り、日本マイクロソフトの社長は決断に関与していないように見える)それは賢明な判断だったということになる。
それとともに、Windows8はタブレットではなく、PC用のOSとして扱われることになるのではなかろうか。Windows9でMetroがどのような扱いになるかはなかなか興味深い問題だと思う。