Topが「やらない」と決めること

2012-10-18 06:44

iPhone発売直後には

「頼む。孫社長。これを日本で売ってくれた、家族全員Softbankにする」

といったのは私です。当時はKDDI死にかけてたしね。利益がどうのじゃなくて、おかしなことばかりやる会社だったから。

しかし

トップが変わるとこれほど変わるのかと思う。

LTEのネットワークが本当にスピーディで使いやすく、電池もあまり減らないといった、そういうところに企業はもっともっと集中していくべきだ。私は顧客から気持ちが離れると、企業はどこにいくか分からないという考えを持っている。ソフトバンクにも考えがあると思うが、当社はそういう思いで会社を続けていきたいし、オペレーションしていきたいと思う。(ソフトバンクが)派手なのはいいと思うが、(自身は)性格が地味なのでそんなふうにやりたい」(田中氏)

via: KDDI田中社長、ソフトバンクの戦略に「数ではなく質で訴求」 - CNET Japan

この言葉は強い。この言葉と比べてみると、孫社長の言葉は顧客よりも、自分の願望に向いているように思える。

もちろん「自分の願望」を追求するのは悪いことではない。そしてそれは日本でiPhoneを発売してほしい、というユーザの声と一致していたわけではあるが。

プラチナバンドがどうのと言ったところでSoftabankがつながりやすくなったという声はどこからも聞こえてこない。スマホに放射能測定機能をつけてみたが、だーれも使っていないようだ。(Google先生にお伺いを立ててもびっくりするほど何もでてこない)

どの立場にある人間でも

「やることを決める」

ことよりも

「やらないことを決める」

ことのほうがはるかに重要で、難しい。

――海外キャリアとのアライアンスなどについては?

 (ソフトバンクが買収した)Sprintもそうだったが、もう1年も前から証券会社が常に持ち込む企業リストに入っていた。僕がどう思っていたかというと、自分たちは一体何なんだろうと常に思い返していて、このディール(取引)についてはお断りしていたのが現実。

via: KDDI田中社長、ソフトバンクの戦略に「数ではなく質で訴求」 - CNET Japan

一見よさそうに聞こえる話であっても

「自分達はなんなのか。そうした観点で自分達のためになるか」

を考え抜き、あわないとなればきっぱり断る。当たり前のようだが、たいていの人間にはこれができない。

当家は貧乏なので、私がもつ携帯は当分月945円回線のままだろうが、何かの間違いでキャリアの携帯を持つことになれば、KDDIにしよう。少なくとも田中氏が社長でいる間は。