シノフスキー粒子について(あるいはYet another Steve)

2012-10-23 06:46

少し前にこんなチャートが話題になった。

このチャートにおいて、Microsoftでは、いくつものグループがお互いに銃を向け合っている。

こうした文化を作った一員はSteven Sinofskyにある、、という意見があるらしい。

"In my opinion, Steven Sinofsky epitomizes that," said Charlie Kindel, a 21-year Microsoft veteran, who said he dealt with Sinofsky many times in his tenure at the company.

via: Steven Sinofsky: Microsoft's controversial Mr. Windows 8 | Microsoft - CNET News

私がなぜシノフスキー氏などという名前を知っているかといえば、昨今Windows関連で必ず名前と顔がでてくるからだ。彼はどんな人物なのだろうか?

前述の記事によれば、彼の最大の功績は、惨劇に終わったWindows Vistaを収拾し、Windows 7への成功に導いたことなのだそうな。つまりきちんと開発を管理し、ちゃんとした製品を出荷する、ということに長けているとのこと。

なぜそれが可能かと言えば


One former senior executive referred to the approach as "Soviet central-planning."


via: Steven Sinofsky: Microsoft's controversial Mr. Windows 8 | Microsoft - CNET News

ソビエトの計画経済のようなものと揶揄するむきもあるようだ。

さて

なぜ私がこの記事を引用しているかといえば、Windows8に関する奇妙な決定が、Microsoftにとっての効率を優先する立場からなされたのではないか、と考えたからだ。

Microsoftにとってタブレットとは、PCの延長である。それが既存の膨大なPCのインストールベースを活かす方法だ。であるから(UI上の問題は無視して)PCとタブレットのOSを統合する。これで開発コストを下げ、製品を予定どおり出荷することが可能になる。

そうした統合OSは成功しなければならない。従ってPCユーザが従来どおりのデスクトップにとどまることは許容できない。だから全てのPCユーザにメトロ(細かいことはいいとして)の使用を強制する。タブレットの何倍もの広さがあるPCの画面にそうしたUIが最適かどうかなど二の次だ。

こうした「ユーザの利便性を無視しして開発の効率を優先する」立場というのが奇妙に思えていたのだが、この記事を読んで

「なるほど。この人ならこういう判断をするだろう」

と合点がいった。

いずれにせよ、Windows8の出荷は目前である。またあのわざとらしい「WIndows8発売記念イベント」が行われるかと思うとうんざりするが、まあ目と耳を塞げばいいだけだ。各社からは続々と「新PC」が発表されているようだけど、結局のところWindowsユーザはどう反応するんだろうね。