Me Factorとベンチャーの考え

2012-11-27 06:45

実に興味深い文章を読んだ。

つまるところ、大学の研究室で生まれた商品アイディアを、製品化にむけての開発費リスククラウドファンディングによって抑えて商品化する、という新しい産学連携の試みである。

via: 進まぬ『製品』レベルでの産学連携をクラウドファンディングで打破! 塚田先生×Cerevo、イーテルミン製品化へ向けて始動 - キャズムを超えろ!

この文章の9割は産学連携でもって商品化するクラウンドファンディングの説明である。ちなみにこのクラウンドファンディングの仕組を作ったのは筆者なわけだな。

でもって肝心の売ろうとしている製品に関しては

コラボ一発目の題材として、イーテルミンはちょっとイロモノに走りすぎたかなぁという思いがなくもないが、宴会での一芸や、プレゼントにちょうどいい一品になるかとは思う。

via: 進まぬ『製品』レベルでの産学連携をクラウドファンディングで打破! 塚田先生×Cerevo、イーテルミン製品化へ向けて始動 - キャズムを超えろ!

この一文でおしまいだ。つまるところこの筆者が言いたいのは

「僕って素敵!僕が作ったフレームって最高!売ろうとしている製品はクソだけどお前ら金払え」

いや、すがすがしい。これくらい「俺様最高!」でなくては日本でベンチャーなどできん、ということなのだろうな。

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しかしベンチャーというのは茨の道だ。相手の動機が「俺様最高」にあろうがなんだろうが使えるものは使わなくてはならない。

日を同じくして、このCHIshなプロジェクトはEngadgetでも取り上げられた。そちらではもっと愛情にあふれる苦言が並んでいる。

EaTheremin が「何に役立つのか」「使ってどう嬉しいのか」は、Cerevo DASH に掲載されているページを一見して想像するのはやや難しく、また「こういうガジェットおもしろいね!」という人の中には、無骨な試作品であれば楽に作れてしまう人が少なくない割合含まれているだろうことを考えると、誰に向けて支援をお願いしようとしているのか、いまいち不明瞭な点が気にかかります。

via: テルミン食器「EaTheremin」がCerevo DASHで支援募集中 - Engadget Japanese

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個人的にこの一連の騒動を見て思うのは

きっかけは、日本の大学では素晴らしいプロダクトの種がそれこそ星の数ほど作られているというのに

via: 進まぬ『製品』レベルでの産学連携をクラウドファンディングで打破! 塚田先生×Cerevo、イーテルミン製品化へ向けて始動 - キャズムを超えろ!

とかいったところで結局「学会で発表し"楽しいねー"と言われた」という内輪受けレベルでとまってしまっているのだなあ、という失望感である。


いや、そんなことはない、というのであれば「産学連携第一弾」はそうした可能性を感じさせる製品にして欲しかった。これじゃ

「結局大学のセンセイが考えることなんてこの程度か」

でおしまいだ。などといったところで、クラウンドファンディングの場を提供した側が「俺様最高」の人だからなんともならんか。


いやもちろん産総研の「ぼかりす」のようなすごいテクノロジー、すごい商品力をもち実際に商品化されるものだってあるのだけど、後藤さんは大学のセンセイじゃないしね。