広告から感じる世の中の変化

2012-12-28 07:16

私は民放TVを見ない人なので、CMというものに触れるのは電車の中だけである。扉の上にあるディスプレイとか、壁にはってある広告とか。

一時そうした広告にやたらと「ソーシャルゲーム」がでていたころがあった。最近さすがに少なくなったようだ。とはいってもこの文章を書いているのは久しぶりにそうした広告を観たからだが。

相変わらず下品で幼稚なキャラクターがたくさん並んでいる。あの広告を出している人間はおそらく自分でこうした絵を見たいとは思っていないだろう。しかしそうした絵を見る人間から金を取ることが彼らの仕事なのだ。

先日こういう文章を(改めて)読んだ。

つくり手が自分を王様だと思っちゃうんです。
王様としてつくったものを、
本来は王様であるはずのお客さんが奴隷側の立場で
きゃーきゃー言って受け取るだけだと、
つくり手はなにも進化しない。
つくり手が進化しなければ、
お客さんはすぐに「飽きた」って言って
おしまいになっちゃうんです。
その悪い循環に陥っているものが
世の中に増えてるんじゃないかって
最近、とみに感じますね。

via: HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN - 1101.com

このコメントを岩田社長がしたのは、2007年。つまりソーシャルゲームが今のように隆盛を極めるずっと前の話だ。

しかし

作り手が王様で全く進化せず、お客様が奴隷というのはソーシャルゲームにぴったり当てはまる図式だ。そしてDeNAとGREEの株価を見る限り、彼らの商売はまだ「好調」のよう。

スマートフォンによる「破壊的イノベーション」そしてソーシャルゲームによる搾取にも動揺することなく、たんたんと自分たちが考える「あるべきゲーム機の姿」を追求し形にするのが任天堂という会社の強みだ。もっと言えば、そういうことができる人間を社長に抜擢できるところが他の会社に真似できないことだ。

Wii Uは商業的に成功するだろうか?前述のインタビューがあったのはWiiが発売された直後。岩田氏は

「いい出足ですけど、まだです」

といっている。米国ではXbox360の売上がWii Uの売上を上回っているのだそうな。そのニュースの読み方には注意が必要だが、それはそれ。うちの娘はWii Uの「新しい使い方の提案」に興味津々のようだ。

GREEやDeNAが存在していることを恥と思うのと同じ程度に任天堂が存在していることを喜びたい。来年はどちらに何がふれるのだろう。