つまるところは「がんばれ!」

2013-02-20 07:03

ビジョンやミッション・ステートメントが重要だとは多くの人が言う。そしてそれらを掲げている会社も多い。

私の考えではそうした行為は、結局なんらかの「狂気」に結びつくのではないかと思う。Googleのそれをみてみよう。

googleのミッションステートメントは

1.「世界の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」

2.サービスをすべて無料にする

3.収入は広告収入に限る

via: Takaaki Murakami Blog:ミッションステートメント

これは「和を持って尊しとなす」の日本企業がかかげるそれとはかけ離れている。まず具体的である。次に「やらないこと」を明確にしている。そしてGoogle MapとかStreet Viewとか「そんなことやって何がうれしいんだ」ということを本当にやってしまう。これは彼らのミッションステートメントから見れば正しい行為だが「常識」で考えれば馬鹿げている。嘘だと思うなら日本の会社で

「世界中の町の風景を撮影し、Webで無料でアクセスできるようにしましょう!」

と提案し、その企画を実現させてみてほしい。

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さて、こうした行為が有名になったので我が国でも「ビジョン」やら「ミッションステートメント」を掲げる企業は多い。今朝目にしたのはこういうものだ。

「スマートフォンのモノ作りにかける思いは、SMARTPHONE IS MEDIAS──、これぞスマートフォンと呼ばれるものにしたい。迷ったときはこのメッセージに立ち返り、道しるべとして価値を提供していく」と、商品企画部 部長の辻宏和氏は意気込む。

via: "スマホ=MEDIAS"目指す--NECカシオが2013年春スマホにかける意気込み - CNET Japan

これは実に日本企業らしい。まず第一に聞こえが良い。第二に何も言っていない。だからどんな意見でもこれに載せることができるし、社内において摩擦も産まない。やっぱりあれですよ。角をたてちゃいけません。みんななかよく。

というわけでこのメッセージを「道標」にすると意気込んでいるらしいが、意味不明なセンテンスをどう道標にしろというのか?

「それを考えるのは君の仕事だ」

と彼らは部下に向かって言い放つ。ちなみにこれは私がNTTの末端子会社で働いている時に学んだことでもある。NTTべったりのNECはきっと同じ文化を学んだのだろう。

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これと形は違うが、同じ心根に基づくであろう事例をもう一つ。

そうです。2012年のパナソニック製スマートフォンは、LTE非対応だったり、赤外線やワンセグなどの日本向け仕様に非対応だったりしていました。薄型でデザインに注力した機種も、当社としては自信を持っている機種でしたが、販売実績という面では苦労した部分がありました。2011年には価格を抑えた機種も投入しましたが、これも厳しい結果でした。こうした実績から、現在のスマートフォン市場は、「全部入りが当たり前。その上で特徴を打ち出す」という側面があり、そこに向けた機種を提供する必要がある、と考えたのです。

via: 「ELUGA X P-02E」担当者インタビュー

全部入りとは程遠いiPhoneが日本で最も売れている携帯電話、という些細は事実は無視しよう。Appleは信者がいるから参考にはならないのだ。

というわけでつまるところは「機能の多寡」が売上を決める!そう信じて走るのは実に頼もしい姿であり、日本企業そのものだ。「当社としては自信を持っていた」が間違っているとは思いもしないのだろう。ひょっとして「薄型でデザインに注力した」ってこれのこと?

女性がAndroid端末の購入をためらうのは、もちろん不満点があるからで、一方でiPhoneを購入するのはその不満点を超えた満足するポイントがあるからだと予測し、それらを分析していくことで、女性向けの良い端末ができるのではないかと予測しました。

── 製品には、女性ユーザーのどういった意見を盛り込んだのでしょうか?

池田 女性にスマートフォンのニーズを聞くと、まずはデザインに対する訴求がトップに来ます。

via: ASCII.jp:アラフォー男子開発陣がホンキで取り組んだ女性向けスマホ|開発者の情熱! スマホ&アプリ、サービスの生みの親に直撃!

こうした姿勢は「判断を放棄した」姿勢にほかならない。とにかく全部の機能を搭載し、最先端にするんだ!これはとてもわかり易い。社内的に、という意味でだが。そして「がんばれがんばれ」と担当者や「下請け業者」を叩きまくる。

デバイスメーカーさんとの連携を強化して、「この時期にはこれが最先端」というデバイスを先行して採用したことが効を奏したのだと思います。ただ、開発途上には仕様変更・追加もあって、技術陣には頑張ってもらいました。デバイスも、ギリギリまで最新のものを搭載できるよう取り組んでいたのです。

via: 「ELUGA X P-02E」担当者インタビュー

「信念」を持つということは「やることを決める」だけではなく、それ以上に「やらない事を決める」ことだと思っている。いや、「やらない」なんて言っちゃいけませんよ。全部の機能で一番になるんです!

いや、もちろん市場で何がうけるかは誰にもわからない。1つだけ提案。

「効を奏した」

というのは、市場で売れてからにしてはどうかな?