カー・インフォテイメントはどうあるべきか
2013-02-27 07:06
トヨタ様とデンソー様の下請けをやっていた時には口が裂けても言えなかったことだが、今は彼らと何の商売上のつながりもない。従って自由にあるべき姿について語れるのはうれしいことだ。
というわけで先日こんな記事を見つけた。
カーナビゲーションや、車内エンターテインメントシステム、あるいは各種ユーティリティについて、今更自動車メーカーが頭を悩ませるようなことは、ほとんど存在しないのだということを認識すべきではないだろうか。自動車メーカーに採用される前に、すでに十分使えるものに仕上がっているのだ。たとえば自動車メーカーは、運転中に運転手の注意を削がないことが大事だと言う。しかし既存の車載システムを使ってもわかる通り、気を散らさないということがシステムの主目的であるわけではない。ドライバーの注意力を散漫にしないためにという議論は見当違いなものとなっているケースも多いように思う。
via: モバイル・ファースト世代が購入を考える車とは?!
この意見には全く賛成だ。走行規制がどうのこうのと既存カーナビメーカーは偉そうに言う。しかしそれがなんだというのだ?いくつかのガイドラインに後生大事に従い、使えないUIを量産しているだけじゃないか。
長らく言われてきたことだが、カー・インフォテイメントと車自身の間には大きなギャップが有る。一番大きなものは製品サイクルの差だ。AndroidもiOSも1−2年で大きく変わる。車は10年乗る。(国によってはそれ以上だ)
このギャップがあるがために、どれだけ金をかけて自動車と一体化した物を開発しようと、2−3年後には化石のようになる。これは問題として認識されてはいるが、既存メーカは目先のソフトのデバッグに忙しくあたかも問題が存在しなかのように振舞っている。だからまず第一の原則を大きく書いておく。
・カーインフォテイメントシステムは自動車と分離できなければならない
分離した上で、第2の原則を書いておこう。
両者のインタフェースを極限まで減らさなくてはならない。
お互いがお互いに依存してはいけないのだ。
では10年もつインタフェースには何があるか?一番確実なのは
・シガレットからとる電源
・アナログオーディオインタフェース
である。そろそろBluetoothもそれにいれていいかもしれない。
というわけでカーナビメーカーがやるべきことは
・モバイルデバイスへの「継続的な」電源機能の提供(コネクタが変わればすぐ対応製品をだせ、ということ)
・モバイルデバイスを快適にホールドする「素晴らしい」ホルダーの提供
・何かメーカー独自の機能を提供したければ、iOS/Android上のアプリとして提供する。それでも足りなければ、アプリ+補助ハードウェアを提供する。iOS/Androidデバイス自体には絶対にハード的な手を加えない。
・カーナビアプリ+データ無制限のSIMを最初から搭載したiPad中古品、あるいはAndroid tablet中古品を安価で販売する。
たったこれだけである。これで現在膨大な費用をかけて開発している多くの機器のコストを削減できる。(ついでにそれにかかっている膨大な人員もだ)なによりも車のユーザがハッピーになれる。
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上記で提案したことは非常に明快でかつ効果がすぐ期待できる。それ故大きな会社は絶対に受け入れない。何度か書いたことだが
「明快さは日本の大企業の最大の敵」
なのだ。
問題はもうひとつある。彼らは営々として築き上げてきたカーナビソフトをiTron以外に移植することができない。とにかくiTronが全てなのだ。彼らに
「今までのカーナビをiOS上で動かせ」
といえば、まずiTronをiOSに移植するところから作業を始めるだろう。あ、もちろんこれは冗談ですよ。
ユーザの誰もが馬鹿げていると潜在的に思っているが、全ての既存メーカーが「過去のしがらみ」から動かない分野というのは、新しい隙間がある場所だ。あの下品で使いづらいガラケー文化は一瞬にして消え去った。どこかやらんかな。こういうことを。