スタートアップが捨てるもの、残るもの
2013-03-22 07:03
というわけで、最近私が一番良く使っているメーラーはMailboxである。この名前はどうかと思う。ググってもみつからんではないか。Google先生にお伺いを立てた時、ちゃんと見つかる名前を考えるのが第一歩ですよ。
とかいうくだらない講釈をふっとばして、MailboxがDrop Boxに買収された。これは見事な「ベンチャー企業の成功物語」だ。
これまで十分な資金と数百万人のユーザーを持つ小さなスタートアップが、同じような転換を試みるところを何度も見てきたが、いずれも失敗に終っている。
via: OrchestraからMailboxへ。 奇跡の転換を可能にした7つの理由 | TechCrunch Japan
Mailboxはもともとtodo-リストを共有するOrchestraというアプリを作っていたのだそうな。ところがそれが之以上大きくなる見込みがない、という判断に基づき、それを捨て、1からMailboxを作ったと。
Mailboxの成功にはいくつかの要素があることに気がつく。
・技術系で影響力のあるユーザにベータテストを依頼し、絶賛されるだけのメールアプリを作る開発能力
・現在存在している製品を切り捨て、新しい方向に一から取り組むことを決断するマネージメント能力
・長期ベータと予約システム(これは実に楽しかった。待ち行列が0になったとき-すなわち私がアプリを使えるようになったとき-もう待ち行列が減る喜びを感じられないか、と失望したものである)を発明したマーケティング能力
この3つが組み合わさった時に生まれたのがMailboxという伝説だ。そしてMailboxは何か?と言われれば「それを作り上げた人々の能力」という答えが一番ぴったりするだろう。彼らはOrchestraという既に存在している製品とそのユーザを躊躇なく切り捨てた。なかなかできることではない。しかし彼らにとって「既存の製品、ユーザ」は彼らが守りぬくものではなかったのだ。製品を捨て方向を転換しても、それに関わった人たちの能力は残る。
この成功がニュースになるのは、それが滅多に起こらないことだからでもある。しかしここは「コップには水が半分はいっている」立場を取ろう。こうしたことは起こりうるのだ。
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逆に確立された大企業では、才能ある人達がたくさん勤めていながら、とんでもなく馬鹿なことが起こりうる。
そんなSurface RTのウェブサイトに掲載されている「おすすめのタイプを選ぶ」というページが、発売前からネットでツッコミを食らっている。というのも、比較対象として隣に並べられている「Surface Pro」が国内未発売でスペックが空欄になっているため、製品を選ぶための比較表として機能していないのだ。
via: 【やじうまWatch】まさかの一択......おすすめのSurfaceを選ぶページが斜め上の展開 -INTERNET Watch
天下のMicrosoft日本法人がこうした馬鹿な事をやる。おそらくMicrosoftの社員誰に聞いてもこの頁を「馬鹿げている」というだろうが、集団になるとこれが生まれる。「組織」というものの面白さを垣間見ることができる。