第2回Wi2研究会で考えたこと

2013-05-21 07:23

というわけで、Wi2研究会@大阪大学に行ってきたのだった。

いきなりだが、研究会の間になされたあるTweetを引用する。

WI2の研究は,何らかのサービスだったりユースケースを想定したことにして発表する人が多い.けれど,それがあまり練られていないと,採用された技術が妥当かどうか分からない.というか,結構無理筋な想定がされていることがしばしばあるんだよなあ

via: Twitter / ts_pawn: WI2の研究は,何らかのサービスだったりユースケースを想定し ...

このTweetをみて、それまで漠然と抱いていた疑問が明確になった。

こういうことだ。「What to make:何を作るか」と「How to make:どうつくるか」に話しを二分する。でもって工学系の大学の先生というのはほとんどの場合How to makeに重きをおいている人が多い(ものすごい一般化)つまりやれT検定がどうだとか、自然言語処理がどうだとか、クラスタリングアルゴリズムがどうだとか、ね。

でもって研究もそれに沿ったものが多い、、のだがここに問題がある。WI2研究会の場合「◯◯アルゴリズムの最適化について」といった裸の技術が発表されることはあまりない。主眼がそうした「製造技術」にあったとしても、それが「何らかのサービス」の形をとっていることが多い。

ところがこの「サービス」自体が「そんなもんないだろう」と議論になってしまうとそもそもの製造技術まで行き着かないわけだな。

さらに悪い事に「こうしたサービスはありか、なしか」の議論になると名だたる先生が急に「一ネットユーザ」になってしまう。いや、もちろんWhat to makeで教授になった人もいると思うのだけど、あまり数は多くないよね。

もっと悪いことにそういう「サービスかあるかないか」の結論は「結局やってみないとわからないよね」ということになり、じゃあサービスをやりましょう、でもそれって企業がやることじゃなかったっけ、ということになる。そもそも大学の研究室は「人が集まるサービス」を作ることを目指している場所ではない。そうならば、GREEはDeNAは博士号取得者で溢れかえることあろう。

ここらへん、以前より指摘されている「そもそもWeb関連の研究というのは、成り立つのか」という議論にもなるわけだ。

以前に高林さんに言われた「Webに関する研究ってありえないですよ。だって、Webって考えたことがすぐに現実的なものになる世界だから、研究だとか言ってもったいつけないですぐ実験してみればいいんです。その結果、いいものは広まるし、そうでないものは黙殺される。役に立つかどうかよくわからない研究なんかで論文を書いているより、はるかに意義があります」という意味の言葉が未だに僕の胸に突き刺さっています。

via: 長尾のブログ2.0: Google、名大に来る

じゃあWi2研究会いらいないのかといわれればそうでもない。例えば今情報推薦ではどういうことがトピックになっているか、こんなアプローチもあるといった情報共有は企業間ではできないのだ。そうした情報が得られるのは実にありがたい。でもそうした技術が「変なサービス」にくっついていると、、と話はまた元に戻る。

こうした議論を意識しながら、どちらに転げるでもなく位置づけを考えていく、というのは難しいことだよなあ、と一参加者は人ごとのように思うのだった。