起業家という職業

2013-08-23 06:30

スポーツでもなんでもそうだが、「有名な人は人格も高潔」といった偏見が我々に存在するような気がする。

実際マネージメントの本とか読んでも「よい経営者は控えめで物静かで」といった言説が目につく。

第5水準のリーダーの二面性
・個人としての謙虚さ
・おどろくほど謙虚で、世間の追従を避けようとし、決して自慢しません。
・野心は自分個人にではなく企業に向け、次の世代に一層の成功を収められるように後継者を選びます。
・鏡ではなく窓をみて、他の人たち、外部要因、幸運が会社の成功をもたらした要因だと考えます。
・静かな決意を秘めて行動し、魅力的なカリスマ性によってではなく、高い基準によって組織を活気づかせます

via: 第5水準のリーダーシップ - VERI & heso's Management

しかし新しい事業を起こす、といったフィールドではこの「常識」は当てはまらない気がする。Steve Jobsにしろ、ジェフ・ペゾスにしろ、スティーブ・バルマーにしても相当な変人だ。それは普通に考えれば絶対近くにいてほしくない類の。

でもってこんな記事を読んだ。

よくアメリカでは"You have to be crazy enough to be an entreprenor." (クレイジーな人間でなければ起業家にはなれない)、と言われる。まさにイーロンは優秀な起業家だが同時にとんでもなくクレイジーである事は間違いないだろう。実際に彼を知るその人々の多くは、彼の事を一言で"The Crazy Guy"と言う。恐らく頭のネジが一つか二つぐらい外れていないと、アメリカでビジネスはやっていけないのだろう。

 

上記の様にプライベートではかなりのゴタゴタを経験しているが、そのクレイジーさ?が功を奏したのか、ビジネスでは破竹の活躍を続け、2010年にスペースXが打ち上げた宇宙船を民間企業として初めて地球の周回軌道に乗せることに成功した。2012年以降にはテスラ自動車からモデルSが発売され、これまでの電気自動車の常識を覆す製品としてアメリカや日本を始め、世界中で話題を集めている。プライベートでの不祥事がありながらビジネス・テクノロジー界で継続的に成功を収めるイーロンからこれからも目が離せない。

via: 米国テスラCEOの元妻が語る"私は彼のβバージョンだった" - 起業家イーロン・マスクの素顔【btrax】 [ITL]

プライベートでは最低な夫も起業家としては、おそらく歴史に名を残すほど優秀。ベンチャーというのはこうした一面も持っているのだと思う。

こう考えると我が国の経営者というのはぐっと「常識的」だ。和を持って尊しと成すの国だからとかなんとか理屈は付けられるが、事実は事実。その昔Bill Gatesの逸話と、元ASCIIの西とかいう人の逸話を聞いてその「小者」ぶりにがっかりしたものだが、その差異は今もつづている気がする。