おさいふケータイの運命

2013-10-01 06:40

面白い文章を読んだ。

歴史論争を見ればわかるように、世の中の論争の大半はなにが正しいのか決着をつけることができません。歴史文書が残っていても、事実が正確に記されているかどうかはわかりません。タイムマシンが発明され、過去に遡って事実を検証できるようになったとしても、それをどう解釈するかは(自分たちに都合のいい)イデオロギーで左右されるでしょう。

ところがそのなかで例外的に、白黒の決着がつく論争があります。「市場原理」が正しい者に富を与え、間違った者を市場から追い出すからです。

via: ガラパゴスじゃやっぱりダメだよ 週刊プレイボーイ(116) | 橘玲 公式サイト

この「週刊プレイボーイ」というのも日本独自の進化をとげた面白い週刊誌である。もちろんプレイボーイだから水着の女の子とか載っているのだが、記事が面白い。

ガラパゴス化したひとたちの特徴は、「日本は特別だ」という肥大化した自我と、「世界では通用しない」という劣等感です。こうした錯覚をただすのはとても難しいのですが、市場は損得によってそれを見事に成し遂げることができるのです。

via: ガラパゴスじゃやっぱりダメだよ 週刊プレイボーイ(116) | 橘玲 公式サイト

この記事を書いた方が喝破しているように、論戦というのは本質的に無意味なものだ。それによってどちらが正しいかなど決めることはできない。

肥大化した自我と、世界に対する劣等感というのは戦前の日本にも(あるいは日本という国に伝統的に)当てはまる。無敵皇軍という自ら作り上げた幻想と、それがコテンパンにやられっぱなし、という現実とに挟まれた日本人が何をしたかはよく知られている。

そう考えれば、iPhone発表以前から日本のケータイは滅びる運命にあったのだろう。あのころから日本のケータイは海外では全く売れていなかった。そしてこの記事に書いてあるとおり

2007年頃に、日本市場で独自の「進化」を遂げた携帯電話の仕様が世界標準からかけ離れているとして、"ガラパゴス化"と揶揄されました。それに対して一部の論者が、「ガラパゴスでいいじゃないか」と反論しました。「日本には日本のよさがあるのだから世界に合わせる必要はない」「日本ブランドはアジアではじゅうぶん戦える」というのです。

via: ガラパゴスじゃやっぱりダメだよ 週刊プレイボーイ(116) | 橘玲 公式サイト

こういう「日本帝國バンザイ」という記事も枚挙に暇がなかった。iPhone + Androidによる日本ケータイメーカの駆逐は、仮にiPhoneとAndroidが登場しなかったとしても起こっていたことなのだろう。

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さて、物は決して悪くないのにさっぱり売れないWindows Phoneである。

Microsoftがプラットフォームに対してやるべきこと、それはWindows Everywhereを推進することではなく、個々のプラットフォームを魅力的にし、ユーザが熱狂するようなエキサイトメントを届けることです。もっと具体的にいうと、先ほども触れたように魅力的なアプリケーションを増やすことです。

via: ケン・デュレイニーさん、MicrosoftやIntelはモバイルで巻き返しができますか?(1/2):企業のIT・経営・ビジネスをつなぐ情報サイト EnterpriseZine (EZ)

つまるところ、糸井重里氏がいうところの

糸井 その答えならばちゃんと普段から用意しております。「わあっ」です。「わあっ」てモノが、売れる。

via: iPad、「アバター」から前川清まで――イトイ式「売れるモノ」の法則:日経ビジネスオンライン

「わあっ」がMicrosoftには作り出せていない。どこでもOfficeが使えます!なんてのは個人にとってみれば

「うげっ」

でしかないのだ。