What people want
2013-11-14 06:54
最近電車でよくみかける広告に、NTTファイナンスの「まとめ請求」がある。
いかにも作られた「トメ」というおばあさんが「環境を守るため、NTTファイナンスに金をはらって請求書を一つにまとめろ」と呼びかけている。
毎朝、毎夕、それを見る度にイライラする。自分でそのイライラの原因が何かと考えてはたと思い当たった。
「環境を守るため」
というフレーズがひっかかっているのだ。こういう「錦の御旗」をかかげた人間をみると実にイライラする。それが「NTTファイナンスの売上を増やす」という欲望に根ざしているから尚更だ。
同じようにエコだのEcoだのをやたらとかかげる家電メーカーの広告もどこか「嘘」の感じがする。そもそも人間は「エコ」なんか達成したいと思っていない。それは本当に人々が求めるものではない。なのに会社の大義名分の観点からは「エコ」を推進する。
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昨日こんな文章を見つけた。
FacebookなどのSNSを利用する際も、基本、これと同じことが起きます。そこでは必然的に、欺き(deceit)やフリをすること(feigning)が発生します。これは別に誠実さに欠ける、不正直な態度ではありません。ごく自然な条件反射のようなものです。
via: ソーシャル疲れの理論 - Market Hack
先日Techcrunch Tokyoではこんな話しを聞いた。コメントを共有するDisqusという会社の人が言った言葉だ。
SNSは人にとって自分の最も良い所だけをみせるハイライトヒール(?)のようなもの。しかし本当の人生はそういうものではない。全ての人間はGeekだ。(何かについて)
SNSで「見せている」自分というのは本当の自分ではない。あまり大きな声では言えないが、家族が見ているSNSとそうでないSNSでは書く内容が違う。そしてそれは当然なのだと思う。
R25という無料雑誌に関してはこんな本があるようだ。
アンケートのような定量調査では、しばしば「マーケットは見えてもターゲットが見えてこない」 インタビューでは、人間はサービス精神旺盛だから、インタビュアーを喜ばせるような嘘が出る 仲間同士が、仲間思いの優しさから重い悩みを相談しなかった 空気を読む、傷つかないように態度を変えていく、自分の中の芯になるべく気がつかないようにしている 嘘をつかないで済む質問、背伸びをさせない聞き方が必要になる 芯の部分に何が潜んでいるかをしっかり見てコミュニケーションしないと、彼らの本音に届かない via: 読感: 「R25」のつくりかた - Tsukamoto's blog
何がいいたいか?つまり時として企業は「人間が言うキレイ事」を「人間の欲望」と勘違いする。だからエコがどうとか地球環境のためにとか寝ぼけたことを正面に振りかざしたり刷る。みんなそれはいいね、という。しかし誰も金を払わない。
「キレイ事」を除いた本当の「人間の欲望」について深く考えないと(アンケートなんかとっても何もわからんよ)売れる商品、あたる企画は作れないと思うのだ。
一時一世を風靡したソーシャルゲーム。その先輩であるパチンコはどう考えても非生産的な行為である。最終的には胴元が儲けるにきまっているのだ。しかし多くの人が時間を金をそれにつぎ込む。彼らは人間の欲望をうまく見抜き(ソーシャルゲームは多分偶然だが)それをコントロールする術を身につけているのだと思う。
私が常に目指しているのは、その意見や見方が現実に接地していること。それ故「地球環境のためにエコバックを持参しましょう」というトメばあさんの姿に異常ないらだちを感じるのだ、、と広告を見ていらいらしたことの言い訳のためだけにこれだけの文章を書くのもどうかと思うが。