近視眼的になった日本社会
2013-12-24 07:08
日本のロボット開発については、このブログで文句を書くことが多い。しかしおそらく私は間違っている。というかものの一面しか見ていない。
デモしかできないゴミのようなロボットが有名になる一方でこういうニュースがあることを知る。
2013年12月20〜21日に米フロリダ州で開かれた、米国防総省高等研究計画局(DARPA)主催の災害対応ロボットの競技会で、最近グーグルが買収した日本のヴェンチャー企業「SCHAFT」のチームが1位になった。
via: DARPAロボコンで勝利した日本のヴェンチャー企業が、グーグルに買収された理由 « WIRED.jp
Darpa Grand Challengeのレベルと、日本の「ロボコン」を比べて悩む必要はない。ちゃんと日本のベンチャー企業は彼らと同じ土俵にたって勝てるのだ。つまり少なくとも「技術者の質」において我が国は世界で競えるレベルにあると結論付けることができる。
過度の一般化が大好きな私は同じような論法で、すなわち日本のメディアで取り上げられるベンチャーにゴミが含まれていることが多いことを理由に「日本のベンチャーもだめだ」と主張することがある。これも間違っている。なぜか日本のメディアでは大きく報道されないがすばらしい仕事を成し遂げている日本人が経営するベンチャーはいくつも存在するのだ。
では何が悪いのか。
今日はその一つだけを書いておく。
鎌田は「SCHAFTは、トップレベルの研究者たちが、寝食を忘れて努力している。これで、世界と戦えないはずがない。ただ、日本の投資会社や投資家は、短期間で結果を求める。ロボットのように10年単位でみていかないといけないものには投資をしたがらない」と指摘する。
via: DARPAロボコンで勝利した日本のヴェンチャー企業が、グーグルに買収された理由 « WIRED.jp
若い人がこの文章を読んでどう思うかわからない。しかし年寄りの私はかなりの感慨とともにこの文章を読む。
1980年代から90年代にかけ日本はとても強い国と思われていた。そしてその強さを分析する報告がいくつも存在していた。
ここに書かれていることは、その「強さの理由」の丁度裏返し、米国は「こうだから弱い」と言われていた理由そのままである。当時日本は終身雇用制と安定したケイレツの強さで、四半期ごとの決算に追われる米国企業とは異なり、長期的な技術に投資することができる。それ故強い、と言われていたのだ。いつのまにこんなことになってしまったのだろう?
もちろん「そもそも当時の分析が的外れだった」ということもできるが、おそらくそれは正しくない。では問題はどこにあるのか。ジューコフの言葉を持ち出して投げっぱなしにしても問題は解決しない。