WISS2013に行ってきたよ
2013-12-09 07:27
詳細はレポートはそのうち会社のブログに書くと思うので、ここではつらつらと断片だけを。
今回は論文発表はなし。落ちたからではなく、今年の前半は「へやくる!」の開発で半死半生になっていたのでとても論文まで手が回らなかったからだ。
とはいっても手ぶらで行くのは気が引ける。というわけで「へやくる!」のデモ発表をした。考えてみたらWISSでデモ発表をするのは10年ぶりだな。
一番最初のデモの時間に発表させてもらったのは幸運だった。最初に仕事を終えておけば、あとは気楽である。
カンファレンスの印象、というのはどこで決まるのだろうかと思うことが多い。今年はわりと「小粒な登壇発表」が多かったと思っているのだが、じゃあ印象的なものがなかったかと言えばそうではない。
料理画像をアニメーションすることによる魅力的な料理動画生成システム
崎山 翔平, 岡部 誠, 尾内 理紀夫 (電気通信大学), 平野 廣美 (楽天株式会社/電気通信大学)
1枚の料理画像をアニメーションすることでより魅力的な料理動画を作成するためのシステムを提案する.泡や湯気,具材の揺れなど,料理をより魅力的に見せる要素は多く存在するが,これらは非常に多くのパラメータを持ち,アニメーションの中でうまく表現することは難しい。本研究ではユーザの少ない入力を基にシステムがそれらのパラメータを適切に設定し,誰でも簡単に短時間で料理動画の生成を可能とするシステムを実現した. via: プログラム - WISS2013
この研究には思わず涙を流した。笑いすぎて泣けてきたのである。平たく言えば、一枚の静止画から動画を合成する試みである。対象は「鍋」。湯気をつけ、材料の粘性を考慮し泡をつけ、材料が変形する様子をシミュレートする。この「鍋」への愛はなんなのだ。
役に立たないとは言わない。しかしそもそもなぜそんなに鍋に拘るのか。しかしこの発表が「発表賞」を受賞したことに注目しよう。古今東西人の心を動かすのは、見方によっては「狂気」とも言えるパッションなのだ。
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WISSが終わったあとの非公式エクスカーションは「沢田マンション」だった。
説明によれば、ここを作った人は「マンション」なるものがあることを知り「これを作ってやる」と(理由はよくわからないが)決意したとのこと。この説明を聞いて他のWISS参加者がどう思ったかは知らない。しかし私はWISSのコンセプトにこれほど合致した場所があるだろうか、と思った。
WISSで発表することに何のメリットがあるのか?聞くところによれば、アカデミックの世界では全く業績の中に入らないという。では何故発表するのか?それは沢田氏と同じ
「これを作らなければならない。作って、そして発表してやる」
という根拠の無い決意ではないか。というか少なくとも私はそうだ。
沢田マンションが持つ一種独特な雰囲気と「鍋動画」には共通するものがあると思うのだ。
というわけで今年もいろいろな人とお話をさせていただき大変有意義であった。何が有意義が具体的にはわからんのだが、とにかく楽しかったことは確かだ。さて、来年どうするか。