私が「平均」を嫌うわけ
2014-01-06 07:01
お正月に甥と姪に依頼され、Book Offに行った。目的があったわけではないが(これ重要)目についた「マネーボール」という本を買った。たったの84円である。
この本を元に作られた映画は素晴らしかった。まだ最初の数ページを読んだだけだが、「電車の中で2chなど見ていた自分は馬鹿だった」と後悔するような面白さである。というわけでさっそく「まえがき」から引用しよう。
その対極に位置するのがオークランド・アスレチックス。総年俸は全チームのなかで下から数えたほうがよほど早いが、レギュラーシーズンの勝利数はここ数年常にトップレベルを保っている。(中略) 1999年はじめ、メジャーリーグ機構のコミッショナーであるアラン・H・セリングが、アスレチックスの成功は「異質な例外である」と発言した。要するに、理解不能で説明のつけようがないという意味らしい。
引用元:マネーボール
「平均」から外れた値を「例外」として解析から除外すれば、美しく平均の周りにちらばった正規分布が得られる、というわけだ。
この本の作者はアスレチックスの成功を「異質な例外」とは考えなかった。値が飛び跳ねているからには、何か理由があるに違いないと考え、すばらしい本を一冊書いた。「平均」で均すことを忌み嫌っている私はさっそくこの一節に飛びついたわけだ。
この(私から見れば)異常な平均への回帰について考えるとき、それは生きていく上の知恵とも言える。G.M.ワインバーグの双子の法則を引用しよう。
ワインバーグのふたごの法則 たいていのとき、世界のたいていの部分では、人がどれほどがんばろうとも意味のあることは何も起きない。 via: ジェラルド・ワインバーグ - Wikipedia
つまり、ほとんどの場合明日は今日と同じような日で、同じような状況にあるというわけ。であれば、過去の平均値に従って何が悪いのか、というかそれが一番賢い方法と言える。
もう一つ「平均」に固執する理由というのは「自信の無さ」の表れ、というやつである。「平均的な人間」などどこにもいないにもかかわらず、それと比較したり、あるいはそれを目指すことで安心感を得る、という人は多いらしい。
ブログのタイトルに「嫌う理由」と書いておきながら自分で説明できないのだが私はこうした態度を忌み嫌っている。つまるところ日本が太平洋戦争に突入したのもそうした「みんなやっている」ことをしたためではないか。「バスに乗り遅れるな」という思考停止を誘う言葉と「みんなやってる」が組み合わさった結果があの始末だ。とかいきなり歴史の引用をしてみるのも
「みんな子供を塾にやっているから、うちもそうするべきだ」
としか言わない奥様の言葉にうんざりしているのを隠そうとしているからなのだけどね。と最後は家庭の愚痴になるのであった。