プロ野球はビジネスではない
2014-01-24 08:16
「マネーボール」という本を何度も読み返している。その中にこんな言葉があった。(うろ覚え)
メジャーリーグベースボールというのはビジネスではなく、社交クラブのようなものだ。
これを読んで納得できた。おそらく日本の「プロ野球」というのはもっと社交クラブなのだろう、と。
なんどか書いたことだが、私が子供の頃、子供がやるスポーツは野球だった。それしかなかったのだ。なぜオリンピックに野球がないのかとても不思議だった。TVでは毎日野球を放映していた。
そんな時代は遠い昔の話になった。プロ野球の中継など誰も目にしなくなり、そもそもどこが優勝したか話題になることすらない。不思議なことにTVニュースのスポーツコーナーでは未だにプロ野球が取り上げられるが、そもそもそこに映しだされている選手を誰もしらないのではないか。
プロ野球の放映がなくなる、ということは放映権料が入らなくなる、ということでもあるらしい。つまり収入は減る。観客動員が伸びた、という話は聞かない。なのに年俸は高騰を続ける。
今年、日本テレビの巨人戦・地上波中継は昨年より1試合少ない計22試合(ナイター7試合・デーゲーム15試合)。ナイター7試合って……。
via: 赤字だらけのプロ野球経営を斬る『日本プロ野球改造論』(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース(1/3)
1試合平均の観客動員数を見ても、セ・リーグは2009年の2万9380人をピークに3年連続で減少。パ・リーグも2010年の2万2762人から2年連続の減少。震災年だった2011年よりも減ってしまった、ということが「プロ野球人気のかげり」が深刻であることを物語っている。
落合が1億円を突破した86年の大卒初任給は14万5000円、2011年の上場企業の大卒初任給の平均は20万5000円。25年で約1.41倍。プロ野球の最高年俸は約3.85倍。この数字を比較しただけでもプロ野球の年俸が急激に高騰していることがわかるはずである。
via: ここがヘンだよプロ野球 右肩上がりで上昇する選手の年俸に疑問あり(1/2) - OCNスポーツ 野球コラム
売上が下がっているのに人件費が上がる、などというのはどこの世界でも聞いたことがない。しかし「プロ野球」ではそれが当然の如く行われるのだ。今年中日に落合がGMとして就任し、大胆なコストカットを行ったと聞く。しかし「普通に」考えればこれが当たり前。しかしその行為に対して向けられたコメントには「社交クラブ的体質」が端的に現れている。
「これが落合流なんですかね。ルーキーまで25%ダウンさせる球団なんてありませんよ。プロの厳しさとはいえないでしょう。そんな球団に誰が大事な息子を預けようと思いますか?
via: 落合GMは逃げたのか…“落合流コストカット”で失ったものとは : ジョイナス速報
アマチュア球界の中でもうドラゴンズを敬遠する声があがっている。これは大変なことです」
これはどう考えても馬鹿げている。しかし「夢を売る」商売という大義名分のもと、いろいろな人達が「社交クラブ」のごとく仲良くやっている集団、というのが一番ぴったりくる説明である。つまり
「夢は金で買えない」
のだ。年俸は上がるべきだ。なぜなら「子どもたちに夢を与える」ため。そういう「産業」だから人気の低下も収入の低下もかまわない、と。
私はプロ野球自体には興味がないが、こうした「歪んだ構造」が一気に崩壊する瞬間を見たいとは思う。こういう馬鹿げた「社交クラブ」のつけを払わされているのは一体誰なんだろうね。