大企業がベンチャーに会うとき

2014-02-19 08:12

あまり知られていないことだが、日本の名だたる大企業はベンチャー企業への投資に「積極的」である。昨年行われたTechcrunch Japanでもこんなセッションがあった。

トークセッショ「先駆者が語る『大企業はなぜスタートアップに出会いたいのか?』」
江幡智広氏(KDDI 新規ビジネス推進本部 戦略推進部長 兼 KDDI∞Labo長)× 種田慶郎氏(フジテレビジョン コンテンツ事業局 ゲーム&インキュベーション事業部長)× 西田隆一氏(B Dash Ventures シニア・インベストメントマネージャー)

via: タイムテーブル | TechCrunch Tokyo 2013 | TechCrunch Japan


正直このセッションを聴くまで、あのフジテレビがこんなことをやっているとは知らなかった。とはいえ驚きはそこまでで、セッションの自体は実に退屈だった。全く聞かないで議事録を書いていたと思う。そう考えたのは私だけではないようで、この時間帯にこういうTweetがあった。

Half of the audience is asleep

via: Twitter / Mona: Half of the audience is asleep ...


日本の大企業とベンチャーはあまりにも目指しているもの、文化が異なる。NTTソフトウェアと一緒にするとフジテレビとKDDIから怒られるかもしれないが、2000年のITバブル絶頂期にいくつかの米国のベンチャーと会った。その時の電電公社社員の態度は実に印象的だった。

どう印象的だったか?国は少し異なるが「とても懐かしい」例を見かけたので以下に引用する。

Encircled by 20 Samsung executives, Rubin pitches the Android idea relentlessly, but instead of enthusiasm and questions, the only response he gets is dead silence. Then, Samsung’s team of high-ranked executives voices what seemed obvious then:

“‘You and what army are going to go and create this? You have six people. Are you high?’ is basically what they said. They laughed me out of the boardroom. This happened two weeks before Google acquired us,” Rubin later recollects.

via: Did you know Samsung could buy Android first, but laughed it out of court?

勝手な訳:20人のサムソン役員に取り囲まれ、RubinはAndroidのideaについて情熱的に語った。しかしその反応は「情熱的で、かつ多くの質問」ではなく「冷たい沈黙」だった。そして高位の役員がこう言った。
”どんな軍団がこれを作ってくれるんだね。君たちたったの6人だよね?”
彼らは我々を笑い者にして会議室から追い出した。その2週間後Googleは我々を買収した。


プレゼンをするために遠くから呼び寄せ、その上で笑い者にする。そんな光景を何度か観たような記憶があるが定かではない。しかしこの文章を読んだ時まず頭に浮かんだのは電電公社のエライさんたちのベンチャーに対する態度である。考えようによっては、サムソンは小さなAndroidチームのプレゼンを役員で聞こうとしただけ「素晴らしい」と言えるのかもしれない。大企業とベンチャーの接点ではこんなことが日常茶飯事なのだと思う。