セールスを成功させるために

2014-03-07 07:01

私は何の疑問もなく地元の中学に行き、公立高校に進学した。私が住んでいる地方ではそれが当たり前だったからだ。

しかしローマ行けばローマ人のように振る舞わなくてはいけない。今住んでいる地方では子供の中学受験というものが迫ってくる。いろいろ考えるところはあるが、今日は「子供のための個別指導塾選択」の時の話。

最終的に3社を回った。その中で一社飛び抜けて特徴的なところがあった。

とにかくこい、と言われるので子どもと行った。体験授業でもするのかと思ったら分厚い売り込み資料を使ってのセールストークが延々と始まった。それ自体非常に鍛えられている、という感じがした。こちらの反応を上手く読み、時には子供に質問を投げかけ返答に大げさに感心してみせる。(しかし最初こちらが言った希望は完全に無視している)

親も同席させて20分ほど体験授業がある。これも「こうやってすごいテクニックがみにつきます」というこちらの受けを計算したような内容だった。

こちらは夕食前であり、そろそろお腹が減ってきた。早く帰りたい。しかしセールストークはまだ続く。見積もりをもらい、その額に驚愕したが顔には出さない。まあしっかり教えてくれることは間違いないだろう。では検討して返事を、というと相手は「いつごろ返事をいただけますか?。4日以内でないと一旦リリースになってしまうのですが」と言う。こちらは「あと一社見たいところがあり、それは来週に行く予定なので返事はその後でお願いします」という。そもそも「リリース」ってなんだよ。そっちの都合じゃないか。

すると相手は「いや、そのもう一社の見学を早めていただいて、今週末には返事をいただけませんか」と言う。いやそれはちょっと難しいですと答える。相手はそれにもかかわらず週明け(3社目訪問前)に一度電話をします、といった。

息子は授業内容にはなかなか感心したようだった。しかし「こちらの言いなりになれば、子供を志望校に入れてやる」といった態度の会社とつきあうつもりはない。「不採用理由」を問われそうは電話で言わなかったが「そちらの都合に合わせて返答をしろ、と言ったのは御社だけでした」と伝えた。

昨日こういうニュースを観た。

第三者委の調査によると、TOMASでは生徒が欠席したにもかかわらず授業を受けたかのように見せかけ、講習料を返金せずに売り上げに計上。名門会でも無料で行うサービス授業を通常の有料授業としていた。売り上げ目標を達成するために、常務ら複数の幹部が不適切な会計処理を指示していたという。社員には厳しいノルマが課せられ、ノルマが未達だと降給・降格はもちろん、ペナルティ教育が課せられており、3カ月ごとの信賞必罰の人事異動も行われていた。

via: 学習塾大手リソー教育、なぜ粉飾?高まる業界再編機運~厳しい環境で急成長路線があだに (Business Journal) - Yahoo!ニュース


これをみてあのセールスマンがなぜあそこまで強引に「売り込もう」としたのかが理解できた。同じサラリーマンとして彼のおかれていた境遇には同情するが、関わりにならなくてよかったと安心しているのも事実である。

そして息子には多分かけがえのない「学習」の機会になったのではないかと思う。一見華やかに弁舌さわやかに、しかし強引に売り込もうとする相手には注意しなければならない、ということを身をもって体験できたのだ。あるいは「巧言令色鮮し仁」という言葉を教えてもいいかもしれない。