「デザイン思考」という虚構
2014-06-10 07:20
日本企業からイノベーションでていないよねー。デザイン思考でそれは解決だー(棒読み)
という文章は世の中にあふれているし、講習会もたくさんある。しかしながらHuman Centered Designからはじまり私はこういう「デザイン方法論」には常に懐疑的だ。
“ 個人がもつ熱意あるアイデアから、新しいイノベーションが生まれることもある。例えば、デザイン思考プロセスだけではiPhoneが誕生することは難しいだろう。4つのプロセスだけがデザイン思考ではなく、もっとダイナミックに捉えなければいけない。究極的には、人間の営みから目的を導き出さなければいけない。なんのためのデザイン思考なのか。目的に基づくデザイン思考の実践こそが重要だ ”
via: モノのデザインからコトのデザインへ-HCDを軸に人間の営みからデザイン思考を考える(3/4):企業のIT・経営・ビジネスをつなぐ情報サイト EnterpriseZine (EZ)
この講演をした人はとても正直な人だと思う。Human Centered Designから始まり、「モノのデザインじゃなくてコトのデザイン」というこれまたすごい(棒読み)概念を紹介したあと結局この文章にたどり着く。あれこれ言ってみたけど結局
「よくわかりません」
ということを正直に吐露しているように思える。
"Creativity is just connecting things. When you ask creative people how they did something, they feel a little guilty because they didn't really do it, they just saw something. It seemed obvious to them after a while."
これはSteve Jobsの言葉である。学校の先生方はこの言葉に同意しないと思う。「イノベーションを生み出すプロセス」(笑)はどの組織でもその気になれば再現可能なものでなければならないからだ。
イノベーションのきっかけとは
"They just saw something. It seemed obvious to them after a while"
ただそうなるべきだ。そうなるのが当然だ、ということに気がつくこと。
そのプロセスを疑似科学的に分解しても何もでてこないよ。つまりそれは属人的な力なのだ。
もう一つあげるならばそのきっかけにリソースを割り当てる経営上の判断ができる経営者の能力。この2つが「企業からイノベーションからイノベーションを生む」ために必要。もちろん◯◯思考やら◯◯メソッドを振り回す怪しげなコンサルタントに大金をつぎ込むのも結構。それで自分が定年になるまで持ちこたえることができるのであれば。