NHK技研公開2014

2014-06-02 07:21

というイベントに行ってきた。まず一階は8Kテレビだらけ。これから東京オリンピックに向けてがんばろう、ということなのだろう。しかしあんな巨大なディスプレイをどこに設置する気なのだろうか。パブリックビューイングかな。まさか一般家庭をNHKが広くしてくれるわけじゃあるまいし。

というわけで8Kディスプレイは全部スルー。地下に降りるといろいろな研究が並んでいる。

しかし例えば感覚に関する研究では、着眼点も平凡なら結果の説明もおざなり。タブレット端末を使いタブレット上の画像とTV画像を重畳する展示があったのだが、少し質問するとおそらくはアルバイトの女性は全く答えられなくなる。そもそもそれがなぜおもしろいのか、というコンテンツもないし。

圧巻だったのは「脳活動分析による番組視聴状態の心理状態推定」だった。fMRIを使ってお笑い番組を見ている人の脳活動を分析しよう、というよくあるタイプの研究。

では何がわかったかというと「笑いの8秒前に特定の活動があることがわかった」とのこと。8秒も前ならそれは全く笑いと関係がないじゃないか。それを調べるために落ちがあるのとないのと比較してみてはいかがですか?と質問する。

すると説明者は「いや、それは全ての単語を認識し、何がおもしろいかを解析しなくてはいけないので、我々のスコープに入っていません」とわけのわからない回答をする。いや、単に2つケースやってみればいいだけなんじゃないですか?同じフリを流して、その後にオチがあるケースとないケース比較すれば、その「特定のパターン」が笑いに関係するものかどうかわかるんじゃないですか?

それに対する答えは「いや、我々は別に笑いにこだわっているわけではなく、感情と脳活動のパータンがどういう関係にあるかを調べたいのであって、それは我々のスコープにはいっていません」というものだった。

となると結局その「特定のパターン」がなんの感情に関連したものかはさっぱりわからず、それは「スコープにはいっていない」と力説されてもねえ。

その説明を聞きながら、この研究所の実態というか期待されているものをぼんやり想像していた。企業によって「研究所」というものに期待する内容はずいぶん異なる。「実業では使い物にならない人間」を集めておく場所として研究所を作る場合もある。もちろんNHK内部でこの研究所がどういう位置づけにあるかなど外部の人間である私にはわかりようがないが。


全般的に研究としてみたとき、NTT研究所,ATR,産総研などとは比べ物にならない。(8Kの技術は知らんよ)私はNHKのファンで長年視聴料を喜んで払ってきたが、あの技術研究所にかかっている金の8割は返金しろ、と言いたくなった。