失敗した者が出世する
2014-08-11 07:08
自分が年を取るにつれ
「年功序列システム」
に対する愛着がわく。なんたって年取るだけでえらくなれるんだから話は簡単だ。とはいえやはり弊害があることは認めなくてはならない。
「日本の半導体がダメなわけではなく、エレクトロニクスが日本人に向いてないのではなく、単にやり方が悪かっただけ。現に、東芝のフラッシュメモリやソニーのイメージセンサは好調を維持しています。やり方さえ変えれば勝機がある。」
という話をすと、同業者の大先輩方から袋叩きに遭うのですよね。
やり方を変えるというのは、意思決定者を変えるということですから、自分の立場が危うくなる。
反発はほとんど感情的で、最後は「竹内は生意気だ」くらいで終わる。
via: 日本の半導体やエレクトロニクスが何故負けたか。皆がやっているから始める、皆が止めたから止める。こんなことの繰り返しでは勝ってこない。事業も人生も逆張りでなきゃ。 - 竹内研究室の日記
なんどか書いていることだが、ある産業が斜陽になった場合、その原因を作った「戦犯」はとっくの昔に出世して退職金をたんまりもらって「今の若い者はなっちゃいない」と寝言を言うことが許される。つまりこれは時限爆弾を抱えた椅子取りゲームのようなもので、爆弾を作った人間は次に座る人間に爆弾をなげ、自分は安全なところから他人を批判していればいいのだ。
規模は違うかもしれませんが、東大発でロボット開発を手掛けるベンチャーのシャフトが日本で資金を得られず、グーグルに買収された(買収してもらった)という状況に似てるかもしれません。
海外企業に買収されてから、「日本の技術の海外流出」とか騒いでも手遅れです。もし日本に留めておきたい技術ならば、なぜ、今まで日本が支援しなかったのか。
via: 日本の半導体やエレクトロニクスが何故負けたか。皆がやっているから始める、皆が止めたから止める。こんなことの繰り返しでは勝ってこない。事業も人生も逆張りでなきゃ。 - 竹内研究室の日記
なぜこうなるのか?日本のお役所は「産学官連携プロジェクト」をいくつも立ち上げ、日本の産業振興に心を砕いているというのに。
理由は簡単で、そうした「由緒正しいプロジェクト」には「敗戦」の原因を作った権威者ばかりが、指導的役割で呼ばれるからだ。そして「失敗のフィードバック」はより強固な形でたくさんの失敗を生み出す。
日本の近代の歴史を眺め、その成功を失敗をみていて思うことがある。失敗したときに、例えばアドルフ・ヒトラーのような「失敗の親玉」のような人間が存在していないのだ。代わりに「そもそも誰が国を指導しているのか」という指導者不在の状態にあったことがわかる。
我が国の国民は真面目で優秀だと云うことは(もちろん比較級だが)おそらく云えるだろう。問題は指導者が無能な、あるいは存在しない状態が多く出現することだ。そうした際には、失敗者が指導的地位についていることが多い。これは我が国における要注意パターンとして認識しておいてもいいかもしれない。