日本のハードウェアスタートアップ

2014-09-03 07:17

すっかり聞かなくなったencahntmoonに苦言を呈する、という愚かなことをやったことがある。これはいくつかの意味で愚かな行動であった。まずenchantmoonはとりあえず世の中に出たではないか、という点からして賞賛されるべきだったのだ。

さらにはCerevoの数々の取り組みにつけて難癖をつけたこともあるが、これも愚かだった。なんといってもCerevoは会社として存続しているのである。私が一消費者としてひどいカメラをかわされたとしても、それは消費者の眼が曇っていた、ということなのだから。

しかし

それらはあくまでも「日本のメディアにもてはやされるハードウェアスタートアップのなかでマシ」という意味でしかない。というかTechcrunchはこの「判断」についてどうコメントするんだろうね。

実は去年のTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルでは、Ringのログバーを優勝とすることについて審査員の間で意見が割れた。応用の幅が広そうで独自性が高いという意味では、「目線が高い」野心的なプロダクトだけれども、端的に言って「風呂敷を広げただけちゃうの?」という意見もあった。美麗な動画で可能性を語り、ごくシンプルな電灯のオン・オフのデモを1つやったのはいいけれど、結局使い物になるプロダクトを本当に実現できるのかどうか疑わしいのではないか、という懐疑的な意見があったのだ。ハードウェア系のスタートアップの人たちに意見を求めてみても、入手可能なバッテリや通信モジュールのサイズや性能から言って「指輪サイズ」は、かなり無理があるのではないか、という話もあった。

この辺のことをログバー創業者の吉田卓郎氏にステージ裏で聞いたところ、むしろ何故デバイスの実現性に疑問を持たれるのか分からないという回答だった。

via: 指輪型ウェアラブルデバイス「Ring」がKickstarterでキャンペーン開始、2014年7月出荷予定 - TechCrunch


この「なぜ実現性に疑問をもたれるのかわからない」といった返答の仕方は、今はいない「テレパシー」のCEOとそっくりだ。そして理由はしらないが日本のメディアはこういう人が大好きらしい。

Kickstarterでは、プロダクト創設者・クリエイター(ここではRing側)が、出資者とコメント欄でコミュニケーションを取ることができますが、資金集めが成功する直前の3月25日以降、Ring側からのコメントがない状態です(発送日の決定などに関するアップデートは3回あり)。

資金集め成功後に、バッテリーの持ちへの不安やAndroid対応の遅れ、デザインの変更などが明らかになり、コメント欄では不満や返金を求める声、さらには「返信しないことは詐欺だという考えを抱かせるだけだ」との指摘すら出ています。

via: 指輪型ウェアラブルデバイス「Ring」の製品化に不安の声、Kickstarterのコメント欄が荒れ模様に | アプリオ


他にまともなハードウェアスタートアップはいくつもあるだろうに、なんでこんなのを「優勝」にするかね?うまくいかないのはチャレンジだから仕方が無い。風呂敷広げたデザインが実現できないのもしょうがない。そもそものコンセプトが陳腐で平凡だ、というのは私の個人的な意見。

しかしコメントが全く返されない、というのはそれらとは別の問題と思えるのだが。

tctokyo_winner
Ring(株式会社ログバー):最優秀賞
スタートアップバトル最優秀賞に選ばれたRingは全く新しいウェアラブルデバイス(入力デバイス)だ。

via: TechCrunch Tokyo 2013:スタートアップバトル出場24社を紹介 — 優勝は指輪型デバイスのRing - TechCrunch