日本の家電メーカー
2014-12-24 07:09
今から思えば、日本の家電メーカーがこの世の春を謳歌したのは、1980年代からの10年あまりの短い期間であった。私はたまたまその時期に若者だったので
「日本の家電すごい!」
というのが頭のどこかに刷り込まれている。しかし最近の若い人はそういうこと自体考えもしないのだろうな。
あまりにかわいそうなので、もう悪口は言わない、と決意したSONYだが、こんなネタを投下されては何か書かずにはいられない。
――ソニーモバイルとして、どのように収益性を上げ、差別化していくのでしょう。
十時氏
ポートフォリオを見直し、1モデル辺りの販売数を上げ、効率も上げていきます。ハードとソフトの両方で、開発の効率性を上げることで、プロフィットレベルも上げていきます。また、全体的に構造改革の余地もあります。
差異化については、もう1回ソニーのR&Dと深く連携し、新しい技術を入れることを丁寧にやっていきたいと思います。スマートフォンに求められるフィーチャーは、たとえばバッテリーであったり、キレイなスクリーンであったりします。今は音やカメラの性能も求められていますが、ほかの会社より、少しでも早くそれらの新しいものを提案していきたいと思っています。引用元:[ソニーモバイル十時新社長に聞く] 国内外の状況、これからのラインアップ、ウェアラブルへの考え - ケータイ Watch
ソニーの携帯電話事業は、新たな柱の一つと目されていたが大赤字。役員をクビにして後釜に座ったのが、この人なんだそうな。
多分有能な人なのだと思う。しかしこの受け答えを聞く限り
「ソニーの携帯はもうダメだ」
という以外の感想を持ち得ない。やたらと英単語が混ざっているから、きっと英語がペラペラしゃべれる人なんだろう。しかし何も言っていない。このインタビュー全般に渡って「状況の解説」はしているが「こうします」とは何も言っていない。いや、見事だ。
――今回の戦略を見直すタイミングについて、決断が遅いという指摘もありますが、十時さん自身はどう思っているのかをお聞かせください。
十時氏
なかなか難しいですが、too late(遅すぎる)というわけではないと思っています。何しろ変化の激しい業界で、あのサムスンですら、春先にGALAXY S5の不振がちょっとだけ見えて、サードクォーター(第3四半期)に利益率が8%にドロップしました。変化が3Qに一気に起こったということですね。あれだけスピード感がある会社でも、アジャストできませんでした。もちろん、そこからのスピードは素晴らしいものがありますが、そういう業界だと思って、予兆を察知し、それをいち早く戦略に反映させていくことが必要になります。引用元:[ソニーモバイル十時新社長に聞く] 国内外の状況、これからのラインアップ、ウェアラブルへの考え - ケータイ Watch
そして同じく青息吐息のシャープである。
社長内定後まだ就任前の高橋に取材した時、それを伝えたら、わかっていた。「『ざまあみろ、いい気味だ』といった声が、昨年からぽつぽつと耳に入ります。知り合いの人が『高橋さんだから言うけど』と、悪い評判を教えてくれます」
技術担当の代表取締役副社長執行役員である水嶋繁光はこう語る。「力の弱かった頃のシャープは、外から新しい技術を持ちこまれると『ぜひ、うちも一緒にやらせて下さい』と積極的に対応したものです。大きくなると、『これには、こんな問題があるのじゃないか。それを解決してから持って来てよ』と注文を付けるようになった。相手はシャープと共同で解決したくて持ちかけているのに、そんなことを言われたら、2度と持って来ませんよ」。
こう考えると、今この世の春を謳歌しているトヨタ様たちの「春」はいつまで続くのだろう。私の目が黒いうちにそうした没落が見られるかどうかわからないが、堰を切ったように「トヨタの夜郎自大ぶり」が語られることだけは間違い無いだろう。
栄枯盛衰世の習いとは言葉で多くの人が知っていることである。しかし実感するためには、このように現場を目撃しなければならない。
最後にすっかり「投資会社」となったソフトバンクである。おそらく彼らの没落もそう遠い先のことではないだろう。彼らが買収を狙いはたせなかったT-MobileのCEOがこんなビデオを出した。孫氏もこういうビデオを未だ国内でだせるくらいだったら、「挑戦者であり続けるソフトバンク」でいられたかもしれない。しかし今や彼らは「国内で消費者のメリットを追求し続ける」姿勢をすて「国内で海外投資用の資金を調達する」存在であることを明らかにしてしまった。これから国内はゆるやかな減少カーブをたどるのではないかな。