裸のデバイスとSDKを配布する愚行
2015-01-26 07:00
世の中にはデバイス原理主義者とか、技術原理主義者という人たちがいる。「こんなすごいデバイス(技術)作っちゃいました!みなさん使ってください!SDKも公開です」とやって得意顔。これは実際にあった例だがある学会で「画像処理の画期的な研究」を発表した人がいた。
「これは何に使えるんですか?」と質問され、返した言葉が
「僕そういうの考えるの苦手なので、誰か考えてください」だった。
世の中で起こっていることを薄目で見ていると、こうした「誰かすごいアプリ作ってください!」戦術が成功する確率は極めて低いことがわかる。もちろんそのデバイスがあまりにすごいので人々の想像力を刺激してやまない場合は別だが、そんなことは滅多におこらない。
"They should spend as much money doing that rather than just on hardware tech and saying, 'Okay developers, we'll leave it to you.' If you look at the cases where technology has worked well - touch is one of those, and Wii Sports and motion control; Nintendo didn't introduce motion control until they had Wii Sports. You weren't just playing a few demos
引用元:Molyneux warns Microsoft: Don't overpromise on HoloLens | GamesIndustry.biz
これは先日発表されたMicrosoftのHoloLensについて書かれた言葉だ。私はこの言葉に全面的に同意する。任天堂は「ほら、このリモコンすごいでしょう、動きがとれるんです。みなさん、すごいゲーム作ってください!」とは言わなかった。Wii Sportsを作り同時に発表したのだ。Appleは「ほら、このスクロールすごいでしょう。(以下同文)」とは言わなかった。実際に動くすごいアプリをいくつも揃えて発表したのだ。
そう考えると先日MicrosoftがやったHorolensのデモはよくある
「完璧に計測された環境下では動く、面白さがよくわからないデモ」
と
「いつまでたっても未来にあるコンセプトビデオ」
と
「開発者のみなさん、がんばってね」
のコンビネーションであったように思える。なんでこういう間違いを何度も繰り返すかね。